いまあなたは,「いま」という言葉を読んでいる.その「いま」とはいったいいつのことなのか.バークレー白熱教室講師も務めた物理学者の著者が,「いま」の謎に迫る.相対性理論,エントロピー,量子もつれ,ビッグバンなどの理論の中で,物理学が時間をどのように考えてきたかを示す.それらの理論を結びつけ,時間の流れ,「いま」この瞬間とはなんなのかを浮かび上がらせる. 第一部 驚くべき時間 1.もつれた謎 2.アインシュタインの子どもじみた言いまわし 3.飛び跳ねる『いま』 4.矛盾とパラドックス 5.光速の限界、光速への抜け道 6.実在しない時間 7.無限のかなたへ 第二部 折れた矢 8. 混乱の矢 9.エントロピーから神秘性を取り除く 10.エントロピーに神秘性を与える 11.時間を説明する 12.起こりそうもない宇宙 13.宇宙が噴出する 14.時間の終わり 15.エントロピーを裏切る 16.候補はエントロピーだけではない 第三部 気味の悪い物理学 17.生きていると同時に死んでいるネコ 18.量子の幽霊にそっと触れる 19.幽霊にとりつかれたアインシュタイン 20.過去へのタイムトラベルが観測される 第四部 物理学と現実 21.物理学の限界を超えて 22.われ思う、ゆえに、われあり 23.自由意志 第五部 いま 24.四次元のビッグバン 25. 『いま』とは何か
気候変動懐疑論,地球平面説,反ワクチンーー多くの証拠に基づいた科学を否定し,個人的な経験や裏づけのない意見にとらわれるのはなぜか? 科学に対する否定,疑い,抵抗を心理学的に解説し,科学理解の促進に向けて個人,教育者,科学コミュニケーター,政策立案者が取り組むべき活動を提案する。 第1部 科学に対する否定,疑い,抵抗 第1章 何が問題なのか? なぜ問題であるのか? 第2章 ネット上の科学否定をどのように理解すればよいのか? 第3章 科学教育が果たす役割とは? 第2部 科学に対する否定,疑い,抵抗をめぐる五つの説明 第4章 認知バイアスは推論にどのように影響するのか? 第5章 人は知識や知るということをどのように考えるのか? 第6章 何が科学への疑念を生じさせるのか? 第7章 感情と態度は科学の理解にどのように影響するのか? 第8章 科学に対する否定,疑い,抵抗に私たちができることは?
心理学史や哲学史にはじまり、生物学史や生物進化史の知見を踏まえ、最新の脳科学までをカバーしたうえで「意識とは何か」という難題に新しい解を提示する……。こんな芸当ができるのは、世界で指折りの脳神経科学者、ジョセフ・ルドゥー以外にいない。「生物は、階層的で連関する四つの次元からなっている」という発想を核としたこの新しい生物学理論は、従来の生物観を転換させ、人間という謎多き生物の理解を強力に方向づける。 まえがき はじめにーーあなたは誰? I 人間の存在次元 1 人間とは何か? 2 「自己」を疑う 3 人格 4 たかが言葉、されど言葉 5 四つの存在次元 II 生物的次元 6 生命の秘密 7 身体 8 生物的存在の二重性 III 神経生物的次元 9 神経が必要だ 10 脊椎動物とその神経系 11 ローマーによる再構成 12 内臓学 13 行動 IV 認知的次元 14 外界の内化 15 認知とは何か? 16 メンタルモデル 17 モデルベースの認知の進化 18 心の採餌 19 認知的な脳 V 意識的次元 20 意識は謎なのか? 21 意識の種類 22 意識を意味あるものにする 23 事実認識と自己認識 24 非認識的意識 25 動物の意識とは、どのようなものでありうるか 26 自分自身や他者について語るストーリー 訳者あとがき 索引 参考文献(一部)と読書案内
嫌な気分は「秒」で吹き飛ばせる! ・5秒吸って5秒吐く・うまくいかないときこそ、人に親切にする ・スマホを目覚ましに使わない UCLAの准教授で認知行動療法の専門家が教える 「ストレスとの正しい向き合い方」 【PART1 あなたはもっとラクに生きられる!】 第1章 ストレスをワクワクに変える 第2章 感情をコントロールする 第3章 考えすぎをストップする 第4章 より大きなことにフォーカスする 【PART2 つらいときのストレスリセット】 ●マインドリセット ・あなたの中の「賢い自分」と対話する・痛みを徹底的に受け入れる・感情に名前をつける・最悪なシナリオを手放す ●ボディリセット ・ため息をつく・5秒吸って5秒吐く・口角を少し上げる ●行動リセット ・スマホを家に置いて散歩する・メールを見ない時間をつくる・SNSをやめる・就寝時間を決める 【PART3 回復力をつけるボディバッファー】 ●マインドバッファー ・「ネガティブな信念」を捨てる・心配事に使う時間を決めておく・感謝できることを探す・批判的になるのをやめる・他人の成功を自分のことのように喜ぶ ●ボディバッファー ・スマホを目覚ましに使うのをやめる・1口ずつ味わって食べる・ベッドにいる時間を減らす・運動のルーチンを最優先にする・深い呼吸をする・飲酒や喫煙、薬の使用を記録する ●行動バッファー ・他人に気軽に話しかける・ベッドを整える・気分ではなく計画に従う・一度に1つのことだけをやる・避けたいことにあえて取り組む おわりに ストレスはチャンスでもある
「億千万年前の数十秒の出来事を化石から読み解けるなんて!」--真鍋 真 氏(国立科学博物館 副館長) 太古の生物はどんなふうに子育てし、獲物を捕らえ、敵と戦っていたのだろう? 古生物学者ディーン・R・ロマックスが、当時の行動をそのまま残した驚くべき化石50個をピックアップし、古生物のリアルな姿を解説する。世界屈指の古生物復元アーティストのボブ・ニコルズによる、科学的に正確なイラストも迫力満点。 ストーリーとイラストで楽しむ異色の古生物読本。 ◆著名科学者も絶賛!◆ 「ロマックスのストーリーとニコルズのアートワークが、はるか昔に絶滅した生き物の暮らしと行動をよみがえらせる」 ーースティーブ・ブルサッテ(エジンバラ大学古生物学教授/『恐竜の世界史』著者) 「登場するのは教科書には載らない化石たちだ。生命の歴史に対する認識が一変することだろう。」 ーーマイケル・J・ベントン(ブリストル大学古脊椎動物学教授/『恐竜研究の最前線』著者) 「化石を調べることによって、過去の現象をタイムマシンのように垣間見ることができる。それが化石の魅力である。」 ーー真鍋 真(国立科学博物館 副館長/本書の解説より) はじめにーー先史時代の世界をひもとく 1 交尾 魚の母の子づくり 恐竜の求愛ダンス 死の中の命ーー妊娠した魚竜の出産 永遠に残るジュラ紀のセックス 妊娠した首長竜 クジラが陸上で出産した時代 白亜紀の鳥の求愛 交尾中のカメに起きた悲劇 小さなウマと子ウマ 2 子育てと集団 卵を抱く恐竜 最古の子育てーー古生代の節足動物と子 翼竜の巣 巨大ザメの保育所 ベビーシッター 恐竜がはまった死の罠 先史時代のポンペイーー時を超えた生態系 巨大二枚貝に閉じ込められた魚 スノーマストドンーー小動物の避難所 水に浮いた巨大な生態系ーージュラ紀のウミユリのコロニー 3 移動と巣づくり 移動する哺乳類ーー川で起きた悲劇 リーダーに従えーー最古の動物の移動 ジュラ紀の入り江に座って 死の行進ーージュラ紀のカブトガニが最後に残した歩行跡 ガの大移動 巨大恐竜がつくった死の落とし穴 脱皮するのは成長するとき 先史時代の奇妙なカップル 悪魔のコルク抜き 巣穴にすんでいた恐竜 地下にすむ巨大ナマケモノ 4 戦う、かむ、食べる マンモス対決 戦う恐竜 ジュラ紀のドラマーー失敗した狩り 太古の海にいた恐ろしい蠕虫 貪欲な魚 骨をかみ砕くイヌ 殺し屋は誰だ? --恐竜の赤ちゃんを食べたヘビ 恐竜を食べる哺乳類 興味深い餌場 肉の貯蔵所 先史時代のマトリョーシカーーひとひねりある食物連鎖の化石 5 世にも奇妙な出来事 パラサイト・レックス 岸に打ち上がった大量のクジラ 眠る竜 とんでもない傷を負ったジュラ紀のワニ 干ばつのドラマ? 体の中からむしばまれる 恐竜の腫瘍 化石になった「おなら」 恐竜のおしっこ? [解説]化石という「進化のスナップショット」の魅力ーー真鍋 真
人形で遊ぶメスのチンパンジー、孤児を養子にするオスのボノボ…… 彼らの行動は、どれほど人間と通じているのだろうか。 オスとメスの違いは、生まれつきのものなのか。 はたして「ジェンダーがあるのは人間だけ」なのかーー? ★ユヴァル・ノア・ハラリ推薦! 20か国で刊行決定! 霊長類の社会的知能研究の第一人者が、進化生物学とフェミニズムの間で繰り広げられる、性をめぐる論争に風穴を開ける。 「動物と人間の行動における性差は、人間のジェンダーにまつわるほぼすべての議論の核心にあるさまざまな疑問を提起する。男と女の行動の違いは自然のものか、人為的なものか? 両者は本当はどれほど違うのか? ジェンダーは二つしかないのか、それとも、もっとあるのか?」(本文より) 《本書への賛辞》 「性とジェンダーに関する白熱した論争に、科学的で思いやりのあるバランスのとれたアプローチをもたらす、すばらしく魅力的な本」 ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者) 「……男性か女性か、クィアかストレートか、トランスジェンダーかノンバイナリーかを問わず、より公正で平等な社会を築くために私たち皆が行うべき重要な対話を、間違いなく刺激する」 サイ・モンゴメリー(『愛しのオクトパス』著者) 「女vs男。性vsジェンダー。生物学vs社会的な教え込み。性差というテーマほど、愚か者を誘惑する話題はなかなかないが、ドゥ・ヴァールは賢明だ。人間の性差という魅力的なトピックを、非常に明快に、洞察力と機知に富んだ方法で調べ上げ、結局のところ、私たちも霊長類の一種にすぎないことを決して忘れさせない。じつに刺激的だ」 ロバート・M. サポルスキー(『善と悪の生物学』著者) 「性差という危険地帯に踏み込むには勇気がいる。秀でた語り、文化に対する敬意、そしてボノボやチンパンジーに対する深い知識を頼りに、ドゥ・ヴァールはこの危険な領域を巧みに乗り越えている」 サラ・ブラファー・ハーディ(『マザー・ネイチャー』著者) 《目次より》 第1章 おもちゃが私たちについて語ること:男の子と女の子と他の霊長類の遊び方/第4章 間違ったメタファー:霊長類の家父長制社会を誇張する/第6章 性的なシグナル:生殖器から顔、美しさまで/第7章 求愛ゲーム:慎み深い女という神話/第8章 暴力:レイプと謀殺と戦争の犬ども/第11章 養育:母親による子育てと父親による子育て/第12章 同性間のセックス:虹色の旗を掲げる動物たち 他
狼の再導入? マンモスの復活? 生態系の回復? 先駆的な環境保全活動「再野生化」の概念やプロジェクト例を紹介する初の概説書。 生態系の回復と社会の変革を目指す、真の革命「リワイルディング」とは何か?リワイルディング科学の要である大型動物と草地の相互作用による生態系の回復、先駆的な4つのプロジェクト例、倫理・政治・実践を考慮した上での実現可能な活動、将来についての10の予測を紹介する。地球の未来への新しい指針。 【原著】Paul Jepson and Cain Blythe, Rewilding: The Radical New Science of Ecological Recovery(Icon Books, 2020)
予言がはずれた後、教団はどうなったか。「認知的不協和の理論」を検証する社会心理学の古典に、釈徹宗氏による解説を付した新装版。 本書は予言を教義の中心におく宗教グループの布教活動に関する社会心理学的な実証研究である。著者たちは実際にこのグループに加わってその活動を追いかけ、予言がはずれた後、布教活動はかえって活発化するという逆説的な予測を検証した。私たちの日々の生活にも生じる認知的不協和とそれを解消するときに何が起きるのかを描き出す。 【原著】Festinger, L., Riecken, H. W., & Schachter, S., When Prophecy Fails: An account of a modern group that predicted the destruction of the world(University of Minnesota Press, 1956)
シリーズ累計300万部『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』著者最新刊! 英国の心理療法の第一人者が、心理学の考え方をヒントに、すべての人間関係の悩みに答えます。 私たちの人生の幸福度を決めるのは、家族、パートナー、友人、同僚、そして自分自身とのつながりの質です。身近な人間関係を良好に保つことができれば、人生で直面するあらゆる困難も乗り越えやすくなります。 たとえば私たちは、家族やパートナーなど、相手との関係が親密であればあるほど、相手に多くを求めがちです。「どうしてわかってくれないの?」「あなたのために言っているのに」といった不満や怒りを募らせてしまうのです。ですが、そうした行動はまったくの逆効果で、よりよい関係性構築のためには、私たちはまず、相手の行動に対する自分の受け止め方や行動を変えていく必要があるのだと著者は言います。 本書では、トラウマ、アタッチメント(愛着)、境界線など、心理学の基本的な考え方をもとに私たちを取り巻く複雑な人間関係を読み解き、よりよい関係性を築くためのヒントを、多くの実例から示していきます。 特別な相手との絆を深めるには? 運命の人に出会うには? 関係がこじれるのは誰のせい? 衝突を避けているとどうなるか? 効果的な自己主張のしかた、ストレスや不安の管理方法、よりよい関係を実現するための行動指針など、実践的アドバイスを充実。私たちが人生の難しい局面をうまく乗り越え、幸せを叶えるためのヒントを心温まる筆致で示します。 世界200万部超の世界的ベストセラーとなった前著『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』は親子関係をテーマにした本ですが、「人間関係全般に役立つ」「ここまで即効性のある本はなかった」など、子育て層以外の読者にも圧倒的な支持を得ました。待望の続編となる本書にも、「人生を豊かにしてくれる実践の書」「新たな一歩を踏み出せた」「心に響くアドバイスが満載」など、続々と共感の声が寄せられています。
《各界から絶賛の声、続々!》 世界はGAFAMの食い物にされる。 これは21世紀の『資本論』だ。 ーー斎藤幸平氏(経済思想家・東京大学准教授) テクノロジーの発展がもたらす身分制社会。 その恐ろしさを教えてくれる名著。 ーー佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官) これは冗談でも比喩でもない! 資本主義はすでに死に、私たちは皆、農奴になっていた! ーー大澤真幸氏(社会学者) 私たちがプレイしている「世界ゲーム」の仕組みを、 これほど明快に説明している本はない。 ーー山口周氏(独立研究者・著作家) 資本主義はすでに終焉を迎え、グーグルやアップルなどの巨大テック企業が人々を支配する「テクノ封建制」が始まっている!テック企業はデジタル空間の「領主」となり、「農奴」と化した私たちユーザーから「レント(地代・使用料)」を搾り取っているのだ。このあまりにも不公平なシステムを打ち破る鍵はどこにあるのか? 異端の経済学者が社会の変質を看破した、世界的大ベストセラー。 目次 第一章 ヘシオドスのぼやき 第二章 資本主義のメタモルフォーゼ 第三章 クラウド資本 第四章 クラウド領主の登場と利潤の終焉 第五章 ひとことで言い表すと? 第六章 新たな冷戦ーーテクノ封建制のグローバルなインパクト 第七章 テクノ封建制からの脱却 解説 日本はデジタル植民地になる(斎藤幸平) 著者略歴 ヤニス・バルファキス 経済学者。1961年アテネ生まれ。2015年のギリシャ経済危機の際に財務大臣に就任、EUから財政緊縮を迫られるなかで大幅な債務帳消しを主張し、世界的に話題となった。現在はアテネ大学で経済学教授を務める。主な著書にベストセラー『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』をはじめ、『黒い匣』『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もう一つの世界』など。 斎藤幸平(さいとう・こうへい) 経済思想家。東京大学大学院総合文化研究科准教授。1987年生まれ。主な著作に17か国語に翻訳され、世界的ベストセラーとなった『人新世の「資本論」』など。 関美和(せき・みわ) 英語翻訳者、ベンチャー・キャピタリスト。主な訳書に『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(上杉周作との共訳)『ゼロ・トゥ・ワン』『誰が音楽をタダにした?』など。
アメリカ、韓国はじめ、世界中で ベストセラーの超異色・生物書 人は、何かに名前をつけると 本当の姿を見ようとしなくなる。 19世紀末、生涯をかけ魚類を収集・分類した科学者デイヴィッド・スター・ジョーダン。その膨大なコレクションは、落雷、火災、さらに巨大地震によって幾度となく破壊された。だが彼は、世界に秩序をもたらそうと、まるで運命に抗うかのように分類作業を続ける。 NPR(米国公営放送)の気鋭ジャーナリスト、ルル・ミラーが追跡した衝撃の実話。ジョーダンの生涯を掘り起こす作業を通じ、自然、歴史、倫理、そして愛についての著者の理解は大きく揺るがされていく。 科学への深い執着、殺人の影、分類することへの限りない欲望。 全てが混ざり合う、目が離せない知的冒険の記録。 ★全米主要メディア、絶賛! 「心が揺さぶられる」The Wall Street Journal 「見事な一冊」Los Angeles Times 「打ちのめされる」NY Times Book Review 「自然をめぐる驚きのストーリー。世界がそれまでと違う姿で見えてくる」Book Riot(書評サイト) ★識者、大絶賛! 「奥深く、機知に富み、おぞましい闇と強い高揚感の両方を味わわせる。この本を、そしてこの本を書いた一筋縄ではいかない精神の持ち主を称賛したい。ルル・ミラーは、決して大げさではなく、生命の秘密を明らかにしたと言えるかもしれない」 ージョン・モアレム 『This Is Chance!』著者 「ジェットコースターに乗ったように、魚の(そして私たちの)位置づけがひっくり返る」 ーSlate(オンラインマガジン) 「1ページ目から圧倒的。独白であり、人物評伝であり、国の歴史を語る本でもあり、そこからさらに壮大なストーリーが少しずつ解きほぐされていく。最後の数ページにたどり着いた頃には泣かされていた」 ージョナサン・ゴールドスタイン podcast「Heavyweight」creator ★年間BEST BOOK選出! The Washington Post, NPR, Chicago Tribune, Smithonian Magazine, Audible, etc. 第1章 頭上に星を戴く少年 第2章 島の預言者 第3章 神なき幕間劇 第4章 尾を追いかけて 第5章 標本瓶の中の始祖 第6章 崩壊 第7章 不壊なるもの 第8章 妄想 第9章 この世で一番苦いもの 第10章 正真正銘の化け物小屋 第11章 はしご 第12章 タンポポたち 第13章 デウス・エクス・マキナー機械仕掛けの神
わたしたちは、自分の周りの世界をどう見ているのだろうか。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などと言われる感覚で捉えているつもりになっている。しかし、まったく暗いところでも眼が見えるハチ、紫外線(鳥)や赤外線(ヘビ)が見える種。色の種類をより多く感じ取れる4色型色覚の鳥やチョウ。あるいは逆に眼の機能が悪いライオン(失明寸前だが夜間に獲物を襲うので問題はない)。超音波で世界を感じるコウモリやイルカ(ちなみにイルカは地中に埋まっている物体の材質や寸法まで読み取れる)。サンゴ礁では波の音のほかに、テッポウエビがハサミを弾く音や、ブダイがサンゴをかじる音が充満しており、この音が他の生物も引き寄せていることをわれわれは知らない。なぜなら水中の音を聞くことが出来ないからだ。1つの感覚を取り上げても、さまざまだ。人間はどうしても自分の感覚という制限された世界以外を知ることが出来ないのだ。 ではこの同じ地球上にいる動物たちの感覚とは一体どのようなものなのか。人間より優れているのだろうか。一つひとつ調べると、遙かに優れた感度で知覚していることがわかる。この本ではこうした五感を動物ごとに人間と比べてその違いを明らかにしてゆく。またさらに、電気(魚やカモノハシは電場を使って獲物を感じながら狩りをするし、ハチは電気を感じて蜜のありかを判断する)や磁気(鳥は磁気が見えるので渡りが出来る)といった人間には全く感じられない感覚についても解説していく。 「コウモリであるとはどのようなことか」これはまったくわかりようがない世界としか言えず、また人間にとってわかる必要もない世界とも言えるのだ。 それぞれの感覚は進化の過程で獲得したものであり、それは繁殖のために必要な機能だった。だから、必要がない領域の機能は失われ、それが必要な動物が感じる世界とはまるで異なる世界を感じるようになった。 ついわれわれは人間中心の感覚でものを捉えてしまう。しかし、動物の感覚にも目が向けられ、かれらが実際にどのように世界を感知しているのかがわかりはじめたことで、この世界に対する人間の狭い視野も明らかになってきたのだ。 環世界という観点から、人間も動物の一部でしかなく、その知覚能力も他の動物と比べると優れている点もあれば、まったくその逆もあることがわかってきた。この人間中心の世界で捕らえる感覚から脱却することで、壮大な動物の知覚の世界が見えてくるのだ。この世界にはわれわれが感じているよりも、恐ろしく深遠な感覚世界が横たわっている。 ★2022年の今年のベスト10冊の1冊:ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、タイム、ピープル、フィラデルフィア・インクワイアラー、スレート、リーダーズ・ダイジェスト、シカゴ公共図書館、アウトサイド、パブリッシャーズ・ウィークリー、ブックページなど ★原書のアマゾンレビュー数は4,500越え(2025年1月現在)
理性の力がひろげる〈利他の輪〉 倫理とはなにか? 謎を解く鍵はダーウィン進化論にある。家族や友人への思いやりは、やがて見知らぬ他人へ、さらに動物へと向かう──利他性が生物学的な起源を超えて普遍的な倫理へと拡張していくプロセスを鮮やかに描きだす現代倫理学の基本文献。日々の選択から地球規模の課題にいたるまで、よりよい世界を願うすべての人に。 二〇一一年版へのまえがき まえがき 第一章 利他性の起源 第二章 倫理の生物学的基盤 第三章 進化から倫理へ? 第四章 理性 第五章 理性と遺伝子 第六章 倫理の新しい理解 引用文献に関する注 二〇一一年版へのあとがき 訳者解説 索引
ヒューストン大学教授にしてベストセラー作家 ブレネー・ブラウン博士による、待望の新刊! ★ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー1位! ★米アマゾン53週連続ベストセラーランクイン! ★「CEOが必ず読むべき本」選出!(WSJ発表) ★著者のTEDトーク「傷つく心の力」6000万人視聴! ヒューストン大学教授でベストセラー作家の ブレネー・ブラウン博士による 待望の新刊が、ついに日本上陸。 20年にわたって「勇気、傷つきやすさ、恥、共感」 についての研究をおこなってきた著者が、 近年、「リーダーシップ」の研究に取り組み、 その調査結果を一冊にまとめたのが本書である。 複雑で急速に変化する今の時代に成功するには、 リーダーは「勇敢」になる必要があるーー と著者は指摘する。 そして、勇気を養うには、 「ヴァルネラビリティ(Vulnerability) =傷つきやすさ、脆さ、脆弱性、不安な気持ちなど」 を受け入れることが必須だと説く。 「勇敢なリーダー」になるには、どうすればいいか? 組織を成長させるには? 最高のチームをつくるには? 生産的なコミュニケーションとは? チームメンバーから心から「信頼」されるには? どんな失敗からも「立ち直る力」をつけるには? 40万にものぼる最新のデータや さまざまな研究事例から導かれた、 リーダーや組織の問題解決の具体的な方法が明かされる。 すべてのリーダーと、すべての働く人の必読書。 【賞賛の言葉】 ●シェリル・サンドバーグ(Facebook COO) ーー「ブレネーは本書を通じて、みずからの数十年にわたる研究を、勇気あるリーダーシップのための実践的かつ洞察力に富んだガイドへと昇華させている。本書は、着実に人々を導き、勇敢に生き、大胆にリードしたいと望むすべての人にとってのロードマップである」 ●エドウィン・キャットマル(ピクサー・アニメーション・スタジオおよびウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ元社長) ーー「ブレネーがピクサー社を訪れ、映像制作者たちと話をしたことがある。彼女のメッセージは重要なものだった。というのも、制作者がヴァルネラビリティと向きあうとき、みずからの挫折を克服しなければならないとき、打ちのめされるのを厭わないときにこそ、最高の映画がつくられるからだ。傍観者として、安全で有意義な文化の価値を語るのは簡単だが、それを実現するのは途方もなく大変だ。つねに目を配り、安全な環境を維持し、勇気とヴァルネラビリティをもたなければ、よい文化は生まれない。これは簡単に身に付くスキルではないが、人に伝えることはできる。本書をぜひそのきっかけにしてほしい」 序章 勇敢なリーダーと勇気ある文化 第1部 ヴァルネラビリティと向き合う 第1章 その瞬間と誤解 第2章 勇気を呼び起こす 第3章 武装 第4章 恥と共感 第5章 好奇心と確固たる自信 第2部 自分の価値で生きる 第3部 果敢に信頼する 第4部 立ち上がる方法を学ぶ
ホロコーストを重要史実と位置づけ記憶の継承をめざす「ホロコースト意識」は、段階的に発展してきた。戦後数十年間の無関心、1980年代から活性化した教育、90年代に爆発的に高まった関心。今ではホロコーストがテーマの小説や映画が毎年のように作られている。しかしそれは陳腐化(工場での大量生産のような虐殺というイメージ、アウシュヴィッツとの同一視、生存者の感動物語)や悪用(ホロコースト否定論、ヒトラー礼賛)にも結びついた。 関心の高まりだけでなくその反動にも目を向け、ホロコースト意識を歴史研究の成果に接続することが必要だ。本書はこうした問題意識にヒストリオグラフィー(歴史学の歴史)の世界的研究者が応えたものであり、領域横断的な最新研究を統合してホロコーストを描き直している。 ホロコーストは本当のところ、どうして起きたのか。私たちはなぜそれを矮小化してしまうのか。ヨーロッパ各国の協力は、実際どのくらいの規模だったのか。ホロコーストに教訓はあるのか。 ホロコーストの歴史は収容所の解放で終わらない。ナチ礼賛の極右が台頭し、「ヒトラーは良いこともした」と言われ、ユダヤ人国家がガザでの虐殺を非難される現在と、それは連続している。「ヒトラーは否定されたのではなく、打ち負かされたのだ」。終戦時に放たれたこの言葉が、今ほど深刻に響く時はない。解説・武井彩佳。 はじめにーーホロコーストとは何か 第一章 ホロコースト以前 第二章 ユダヤ人への攻撃、1933-38年 第三章 「最終的解決」以前 第四章 絶滅戦争 第五章 大陸規模の犯罪 第六章 収容所と移動式のホロコースト 第七章 大いなる怒りーー「解放」と余波 第八章 ホロコーストの記憶 おわりに 解説 武井彩佳 原注 索引
ハチは「群知能」だけでなく、1匹1匹も高度に進化した心をもっていた! ハナバチの認知研究の権威である著者が、1匹の内にある驚くべき精神生活を説き明かす。 もちろん、ハチの心は人間の心とはまったく異なる。しかしハチの心が「原始的」だと思ったら大間違い。本書の読者はまず、ハチの賢さに驚嘆するだろう。どんな課題もたちどころに学習し、瞬時に効率のよい判断を下して問題解決する。数を数え、道具を使い、ほかのハチやほかの動物から問題解決の方法を盗みさえする、等々……。この速くて柔軟な心は、採餌や帰巣の必要、ハチの形態やサイズなどに適う方向へ、進化の手が精巧に磨き上げてきたものだ。 ファーブル、カール・フォン・フリッシュ、マルティン・リンダウアー、そしてもちろん著者自身も含め、数多の研究者たちがアイデアを凝らした巧妙な実験によって、その「異なる心」の解明に挑んできた。ハチの内面を探る実験のおもしろさも本書の大きな読みどころの一つだ。 著者はハチの個体が「パーソナリティ」をもち、「自他」を区別し、内的表象を形成し、苦痛や情動を経験するといった心的機能も探っている。本書を読む前と後で、ハチはもちろん、すべての昆虫への見方が変わらずにはいられない。
科学的世界像を真剣に受け止める「自然主義」の立場から「道徳的責任」の不可能性とその廃絶を訴える。同時に「自由意志」の両立論を支持するユニークな立場を打ち出した必読の書、遂に刊行! ■目次 まえがき 第一章 道徳的責任 第二章 道徳的責任反対論の根本論証 第三章 自由意志を道徳的責任から救出する 第四章 階層的自由意志と自然的本人性 第五章 すき間〔ギャップ〕の中に道徳的責任を求める 第六章 責任を引き受ける 第七章 自ら作り上げた自己に対する責任 第八章 道徳的責任の利益は幻想である 第九章 性格の瑕疵〔かし〕と非難の瑕疵 第一〇章 道徳的責任の否定からは何が帰結しないか ──道徳的責任なしで道徳的に生きる 第一一章 道徳的責任のシステム 第一二章 論点先取による道徳的責任擁護論 第一三章 道徳的責任は敬意を促進するか? 第一四章 究極の責任なき創造的作者性〔オーサーシップ〕 第一五章 道徳的責任なき世界 第一六章 道徳的責任の根絶は可能か? 訳者あとがき(木島泰三) 文献 索引 ■著者 ブルース・N・ウォーラー(Bruce N. Waller) 1946年生まれ。現代アメリカの哲学者。2023年に逝去。1990年から2019年までオハイオ州立ヤングスタウン大学教授。著書に、哲学・倫理学の入門書等多数あり、本書『道徳的責任廃絶論』Against Moral Responsibility のテーマ(自由意志と道徳的責任)を準備するものとして、道徳的責任なしの自由意志を論じたFree Will without Moral Responsibility (Temple Universi? Press,1990)、自然主義的自由意志論としてのThe Natural Selection of Autonomy (SUNY Press, 1998)、本書のテーマをさらに掘り下げたものとして、道徳的責任のシステムを取り上げたThe Stubborn System of Moral Responsibility (MITPress, 2014)、自由意志概念の自然的自由意志への「修復」を訴えるRestorative Free Will: Back to the Biological Base (Lexington Books, 2015)、刑罰制度の不正義を論じたThe Injustice of Punishment (Routledge, 2018) これらのテーマのより深い視座からの考察と言えるFree Will, Moral Responsibility, and the Desire to Be a God (Rowman &Littlefield, 2020) がある。本書が初の邦訳である。 まえがき 第一章 道徳的責任 第二章 道徳的責任反対論の根本論証 第三章 自由意志を道徳的責任から救出する 第四章 階層的自由意志と自然的本人性 第五章 すき間〔ギャップ〕の中に道徳的責任を求める 第六章 責任を引き受ける 第七章 自ら作り上げた自己に対する責任 第八章 道徳的責任の利益は幻想である 第九章 性格の瑕疵〔かし〕と非難の瑕疵 第一〇章 道徳的責任の否定からは何が帰結しないか ──道徳的責任なしで道徳的に生きる 第一一章 道徳的責任のシステム 第一二章 論点先取による道徳的責任擁護論 第一三章 道徳的責任は敬意を促進するか? 第一四章 究極の責任なき創造的作者性〔オーサーシップ〕 第一五章 道徳的責任なき世界 第一六章 道徳的責任の根絶は可能か? 訳者あとがき(木島泰三) 文献 索引
裕福な家庭の子供の「努力」と、貧困家庭の子供の「努力」は同じではない。生まれや育ちが人生を決めないための経済学とは。 タバコを吸って病気になる。授業をさぼって進学できなくなる。これらは個人の責任だ。だが同時に、どうしようもできない境遇がそれぞれに深く影を落としている。では、彼らにどのように資源を分配すべきか。努力の概念を精査し、数理経済学の手法を駆使して、チャンスを得る機会を真に均等にするアルゴリズムを打ち出す。 【原著】John E. Roemer, Equality of Opportunity(Harvard University Press, 1998) 序文 第1章 イントロダクション 第2章 境遇,タイプ,自律的選択 第3章 提案の正当化 第4章 機会の平等の形式的な定義 第5章 「機会の平等」制度の誘因的性質 第6章 生産を伴う機会の平等 第7章 厚生に関する機会の平等 第8章 健康に関する機会の平等 第9章 教育と有利性 第10章 機会の平等と失業保険 第11章 アメリカにおける教育財政の機会平等分配 第12章 機会平等化の適用範囲と程度 第13章 どの程度まで機会を平等化すべきか 第14章 アファーマティブ・アクション 第15章 結論的覚書 参照文献 補論 機会の平等を擁護する 訳者解説1[吉原直毅] 訳者解説2[後藤玲子] 索引
自由ってなに? スターリン像を抱きしめた日、私は大人になった。LSE政治理論教授がアルバニアでの少女時代から綴る哲学的自伝。 社会主義下のアルバニア。粛清と困窮にあっても自由への期待に満ちた少女時代は、1990年、抗議行動の高まりで一変する。自由選挙と市場開放、構造改革、移民増加、ねずみ講の破綻で激しい暴動が続く。ある世代の希望は別の世代の幻滅となり、家族の秘密が明らかになる。ふたつの世界を往還する20世紀の成長物語。 【原著】Lea Ypi, FREE: Coming of Age at the End of History, Penguin(Allen Lane, UK), 2021 1 1 スターリン 2 ほかのイピ 3 471─簡単な経歴 4 エンヴェルおじさんは永遠にわたしたちのもとを去った 5 コカ・コーラの缶 6 同志マムアゼル 7 日焼け止めクリームの匂い 8 ブリガティスタ 9 アフメトは学位を取った 10 歴史の終わり 2 11 グレーの靴下 12 アテネからの手紙 13 みんな出ていきたがっている 14 競争のゲーム 15 わたしはいつもナイフを持ち歩いていました 16 これもまた市民社会 17 クロコダイル 18 構造改革 19 泣くんじゃありません 20 ヨーロッパのほかの国のように 21 一九九七年 22 哲学者は世界を解釈してきただけだ、重要なのは世界を変えることである エピローグ 謝辞 訳者あとがき
すべての物語を書きたい人/楽しみたい人に贈る、ストーリーテリングの「虎の巻」。 これまでの脚本術や創作術が教えてくれなかった、物語の「なぜ」を探求し、これ一冊で解き明かす。 映画、ドラマ、演劇、小説── 時代を超えて息づく面白さの法則と理由をたどる、新しいストーリーの旅へ。 なぜ子どもの書く物語は、何世紀も昔から語られてきた物語形式をくり返すのでしょうか。 なぜ私たちは過去にあった物語の再発明を続け、それでいてそれを新鮮で楽しいと感じるのでしょうか。 英国のドラマプロデューサーとして数々の人気作品の物語を仕掛けてきた著者ジョン・ヨークは、物語構造とは何かを探求する旅に出かけました。 これまで何百冊と書かれた脚本術や創作術の本を分析し、仕事をともにした脚本家全員に聞き取り調査を行い、無数の映画やドラマの物語を吟味し……やがてヨークはあらゆるストーリーテリングの真の原型にたどりつきました。それこそが、本書が教えてくれる「森への旅」です。 本書は物語構造の歴史的な展開をたどり、古今の物語理論が提唱したパターンを徹底的に解明し、その神話のベールを取り去ります。そして、五幕構成を中心とした新しい構造の考え方を提案します。 脚本術の探求はストーリーテリングの歴史的、哲学的、科学的、心理的な旅へと広がりを見せ、私たちがなぜ物語を書き、楽しむのか、その秘密に迫っていきます。 物語構造はどのように機能するのか/主人公はなぜ能動的でなければならないのか/ナレーションはいかにドラマをだいなしにするか/ドラマの最終回直前で、たくさんの登場人物が死ぬのはなぜか/なぜフィクションに出てくる警官や医者は一匹狼ばかりなのか/人物描写がいかに物語の構造そのものに不可欠なものであるか……。 「森への旅」に喩えられるロードマップを通じて、「物語とは何か」そして「人はなぜ物語るのか」を解き明かす、すべての創作者と読者のための「虎の巻」です。 <本書で取り上げるおもな物語理論・脚本術の提唱者・実践者> アリストテレス(『詩学』)、テレンティウス(五つのステージ)、ラヨシュ・エグリ(ドラマティック・ライティング)、ウラジーミル・プロップ(『昔話の形態学』)、シド・フィールド(三幕構成)、デイヴィッド・マメット、ジョーゼフ・キャンベル(英雄の旅)、クリストファー・ボグラー(作家の旅)、クリストファー・ブッカー(七つの基本プロット)、フライターク(フライタークのピラミッド)、ロバート・マッキー(ストーリーテリング)、ブレイク・スナイダー(SAVE THE CATの法則)ほか
進化生物学の第一人者であり,大のネコ好きでもある著者が,すべてのネコ好きに贈る,ネコの進化の起源から生態学,行動学までの魅惑のガイドブック! ネコが野生の祖先からどう進化してイエネコになったのか,ネコは人間や他の動物とどうかかわっているか,ネコの将来はどうなるかをトカゲ研究で有名なロソス博士が興味深く考察.現代のあらゆる技術を駆使してネコの過去・現在・未来を探る.ネコの愛らしさ,ネコが他の動物とどうしてこんなに違うのかがわかる.専門用語は少なめ.ネコ好きはもちろん,ネコを飼ったことのある人,ネコを触ったことのある人,ネコを観察したことのある人みんな,必読の書. 第1章:モダン・キャットのパラドックス 第2章:ネコはどうしてニャアと鳴くの? 第3章:優しいものが生き残る 第4章:数の力は偉大なり 第5章:昔のネコと今のネコ 第6章:イエネコという「種」の起源 第7章:古代のネコを掘り起こす 第8章:ミイラが明かす本当の故郷 第9章:三毛柄トラがいないわけ 第10章:モフモフネコの物語 第11章:百花繚乱キャットショー 第12章:しゃべりだしたら止まらない 第13章:伝統品種と新品種 第14章:ヒョウ柄ネコと野生のよび声 第15章:キャットアンセストリー・ドット・コム 第16章:どこ行ってたの、子猫ちゃん? 第17章:照明、ネコカメラ、ノーアクション! 第18章:ノネコの知られざる生活 第19章:責任ある管理? それとも過保護な束縛? 第20章:ネコの未来 謝辞/訳者あとがき/出典についての原注/索引
高名な経済学者である著者が、経済的不平等・所得格差の思想について、過去2世紀以上にわたる進化をたどる。ケネー、アダム・スミス、マルクスからピケティに至る経済学者たちの考え方を概括し、歴史的視点による今日の不平等の捉え方を問う重要な著作。 プロローグ 第1章 フランソワ・ケネーーー「豊かな農業王国」の社会階級 ケネーの時代のフランスの不平等 社会階級とその収入源 剰余の重要性 第2章 アダム・スミスーー「豊かさへの道筋」と暗示的な所得分配理論 アダム・スミスの時代のイングランドおよびスコットランドの不平等 スミス、リカード、マルクスにおける社会階級 繁栄する社会とは 『道徳感情論』と『国富論』での富裕層への態度 富者の所得の正当性を疑う 社会が発展するなかでの賃金、地代、資本収益 進歩した社会の実質賃金と相対賃金 暗示的な所得分配理論と資本家への不信 結論 第3章 デヴィッド・リカードーー平等と効率のトレードオフは存在しない ナポレオン戦争時のイングランドの所得不平等 所得分配と経済成長 賃金、利潤、地代の進化 階級闘争 リカードの「思わぬプレゼント」 第4章 カール・マルクスーー利潤率は下がっても労働所得への圧力は変わらない カール・マルクスの時代のイギリスおよびドイツの富と所得の不平等 下準備ーーマルクス主義の鍵となる概念を整理する 階級構造 労働と賃金 資本と利潤率の傾向的低下 不平等の進化についてのマルクスの大局的な見方ーーふつうに思われているより明るい パレートへ、そして個人間の所得不平等へ 補論ーーグラッドストーン引用騒動 第5章 ヴィルフレド・パレートーー階級から個人へ 20世紀初め頃のフランスの不平等 パレートの法則と社会主義に適用された「エリートの周流」 パレートの法則か、パレートの「法則」か、それともそもそも法則ではないのか パレートの貢献 第6章 サイモン・クズネッツーー近代化の時期の不平等 20世紀半ばのアメリカ合衆国の不平等 クズネッツ仮説の定義 曲線の定義は早すぎたのか 復活の可能性 クズネッツの貢献 この本で検討した著者全員の地域性と普遍性 第7章 冷戦期ーー不平等研究の暗黒時代 資本の私的所有のない体制ーー社会主義市場経済での不平等 資本の国家所有という体制ーー計画経済での不平等 社会主義での所得不平等研究の少なさ 進んだ資本主義の下での所得不平等の研究 崩壊の理由 所得分配への新古典派的アプローチの批判 資本主義の下での不平等研究の3タイプ 国家間の不平等と国内不平等を結びつける エピローグーー新しい始まり 謝辞 解説[梶谷懐] 索引
1941年12月7日(現地時間)、ハワイ・オアフ島の真珠湾を日本海軍の機動部隊が襲い、日米が開戦。日系アメリカ人の日常は一変した。 ハワイに生まれ、日本軍の空襲を目の当たりにしたカッツ・ミホ。一家で農地を追われ、砂漠地のポストン収容所に強制収容されたルディ・トキワ。家業のクリーニング店の客足が途絶えたフレッド・シオサキ。3人は、差別や葛藤をへて米陸軍の日系人部隊・第442連隊戦闘団に入隊し、欧州の激戦地へと送られる。対照的に、シアトルに住むゴードン・ヒラバヤシは当局の指示に背いて収監され、日系人に対する措置の違憲性をめぐって法廷闘争を決意する。 広島や鹿児島、静岡など日本各地出身の両親のもとに生まれ、アメリカ市民として育った4人の二世を主人公に、不条理と闘った日系人たちの群像を精緻に描く。『ヒトラーのオリンピックに挑め』の著者がおくる新たなノンフィクションの名編であり、戦後80年をへて価値を増す生きた証言録。写真51点を収録。序文トム・イケダ(Densho元事務局長)。 序文(トム・イケダ) 著者からの言葉 プロローグ 第一部 衝撃 第二部 追放 第三部 コトンクスとブッダヘッズ 第四部 千人針 第五部 地獄への門 第六部 帰郷 エピローグ 謝辞 訳者あとがき 原注 資料 写真クレジット
人間を決めるのは「生まれ」か、それとも「育ち」なのか。いまだに議論の応酬がやまないこの論争に介入し、世界中で大反響を巻き起こした認知心理学者スティーブン・ピンカーの代表作。本書でピンカーは、人間の心は「空白の石版(ブランク・スレート)」であってすべては環境により決定されるという議論に対し、性差など「生まれつき」の要素を無視することはできないとして徹底的な反証を繰り広げる。現代科学の膨大な研究蓄積を武器に、「人間らしさ」の根源を問う、現代の古典というべき一冊。上巻は、人間本性の存在を否定することの危うさを論じた「第III部 四つの恐怖を克服する」まで。 はじめに I 三つの公式理論ーーブランク・スレート、高貴な野蛮人、機械のなかの幽霊 第1章 心は「空白の石版」か 第2章 ブランク・スレート、アカデミズムを乗っ取る 第3章 ゆらぐ公式理論 第4章 文化と科学を結びつける 第5章 ブランク・スレートの最後の抵抗 II 知の欺瞞ーー科学から顔をそむける知識人たち 第6章 不当な政治的攻撃 第7章 すべては詭弁だったーー「三位一体」信仰を検討する III 四つの恐怖を克服するーー不平等・不道徳・無責任・ニヒリズム 第8章 もし生まれついての差異があるのならば…… 第9章 もし努力しても無駄ならば…… 第10章 もしすべてがあらかじめ決定されているのならば…… 第11章 もし人生に意味がないのならば…… 付録/原注/参考文献/人名索引
自然、貨幣、労働、食料、ケア、エネルギー、生命ーー これらを不当に「安く」してきたのが、人類と資本主義の発展の歴史だった! 私たちに不可欠な7つの「モノ」はいかにして、「安く=チープ化」されてきたか、また、それらはいかなる連関性を持っているかを具体的に語りながら、資本主義が作り上げてきた世界の歴史を読み解き、現代にすでに始まった地球規模の危機に取り組む方途を示す。『肥満と飢餓』『値段と価値』などの著作で独自の視点から現代経済の足元に切り込んできたパテルと、「資本新世」を提唱し注目を集めるムーアがタッグを組んだ話題作、待望の邦訳! [本書へのレビュー] ◆広範囲にわたる知識、全く異なる分野の物事を統合する見事な手腕。--「ガーディアン」 ◆資本主義による500 年にわたる世界への植民地搾取の歴史について、学識に基づき、ときに先鋭的な、論争の書。--「ネイチャー」 ◆今日の地球の危機を分析するための興味深いアプローチ(…)生態学的研究と世界史の概略を巧みにブレンドし、人類が、世界を資本主義にとって安泰な場所にするための戦略をどのように発明してきたかを解き明かしている。--「ライブラリー・ジャーナル」 【お詫びと訂正】 本書カバー(表1側ソデ)の内容紹介に誤りがございました。関係各位にお詫びするとともに、下記のように訂正いたします。 ●後ろから2行目 [誤]「資本新生」→[正]「資本新世」 日本語版へのまえがき 謝辞 はじめに 資本主義以前の人間および自然の概要/初期の未開拓地/未開拓地と安価化/世界ー生態論とは/安価なモノの代替 第1章 安価な自然 初期の植民地主義と自然/自然(ネイチャー)と社会(ソサエティ)の発明 自然、私有財産、労働/資本新世を正確に認識する 第2章 安価な貨幣 生態学としての金融/金融から見た現代世界の出発点/欧州の銀/ジェノバの銀行/軍事の財政的起源/資本主義の生態学ーー世界的な事例/銀行が政府を必要とする理由/現代的なつながり 第3章 安価な労働 賃金労働の時間的生態学/世界的な工場はすべて世界中に生産地を持つ/本質的な労働管理 第4章 安価なケア 大いなる家畜化/金融化と女性の相続/女性の発明/鋤に続くもの 第5章 安価な食料 食料はどのようにして工業世界を作ったか/少しばかりの肉と野菜の食事からビタミンを加えた貧困へ 第6章 安価なエネルギー オランダ病/20世紀の食料/20世紀の石炭と労働/20世紀の石油とマネー 第7章 安価な生命 科学的人種差別と植民地政策/自然、文明化、英国の植民地国家/大西洋開拓地での自由主義的管理体制/国家と国民/代替的なナショナリズム 終章 認識/補償/再分配/再考/再生 注 参考文献 訳者あとがき
サンタクロース、イースターバニー、歯の妖精……現代において、かれらの居場所は、果たしてまだあるのか。かれらを信じるよう子どもたちにはたらきかけることは、適切なことなのか。本書は、子どもとその親に対する丁寧なインタビュー調査に基づき、架空の存在が果たす文化的・心理的役割について、新鮮な解釈を提供する。子どもたちの豊かな証言をたどりながら、「信じること」の意味を考える。発達心理学の視点から、訳者による解説付。 原書:Cindy Dell Clark (1995) Flights of Fancy, Leaps of Faith: Children’s Myths in Contemporary America. The University of Chicago Press. 第1章 子ども時代の神々が持つ意味 第2章 成熟に向けての飛翔 --歯の妖精とともに 第3章 クリスマスとイースター --現代に息づく季節ごとの通過儀礼 第4章 クリスマスの精神 --サンタクロースがやってくる 第5章 ウサギの足跡を追う旅路 --イースターバニーが飛び跳ねる 第6章 商業、家族、人生との関連性 --制度化される子どもの儀式 第7章 空想することと信じること --まとめにかえて 補 論 子ども人類学へ --方法論的考察 原 注 謝 辞 文 献 解 説 子どもと旅するファンタジーの世界(富田昌平) --発達心理学の視点から 訳者あとがき 人名・事項索引
◎アメリカで15万人以上が実践! 話題の健康書がついに日本上陸 ◎人生の満足度は、「可動域」が決め手! ◎今すぐ始めたい、死ぬまで動ける身体を自分でつくる本 加齢に伴って(特に40歳以降)もっと意識すべきは、「可動力」を獲得することだった! 関節や筋肉の痛み、体が動かなくなる、あるいは、転倒して寝たきりになる人が多い原因は、可動域の動きの悪さにあるのです。 スマホやPC画面など、スクリーンに“支配”された生活をする現代人が「動かない体」「痛みのある体」を放置したままでいると、転倒して寝たきりになる未来が待っています。 それを避ける方法は意外に簡単。筋トレも有酸素運動も必要ありません。日々の生活の中で、シンプルな動きを定期的に行うことで、関節をさまざまな場所に移動させ、凝り固まった軟組織(皮膚、神経、筋肉、腱)を剥がしていけばいいだけ。 本書の著者であるケリー・スターレットは、NFL、NBA、NHL、MLBの選手やオリンピックの金メダリスト、軍人などを対象に、長年、可動域の改善や関節の治療に当たってきた理学療法士。その経験から、可動域を広げて、スムーズに動くだけでなく、ケガをしにくい痛まない体を作る=モビライゼーションという概念を生み出し、アメリカで話題になっている。 バイタルサイン1 支えなしで、立ち上がることができるか? バイタルサイン2 広く深い呼吸をしているか? バイタルサイン3 股関節を伸ばせるか? バイタルサイン4 最低8,000歩歩いているか? バイタルサイン5 首と肩が自由に動くか? バイタルサイン6 動く体をつくる栄養素を摂っているか? バイタルサイン7 ちゃんとしゃがめるか? バイタルサイン8 バランス能力が維持できているか? バイタルサイン9 立って仕事できる環境があるか? バイタルサイン10 睡眠をおろそかにしていないか?
水への安定したアクセスなしに、熱帯アジアの持続的な経済発展はありえなかったーー飢饉やコレラとの闘い、井戸をめぐるカースト間の対立、失業と停滞を生む乾季への対処など、成長のボトルネックとなった過酷な環境との交渉に焦点をあて、西洋とは異なる新たな発展モデルを提示する。 謝 辞 第1章 なぜ気候が重要なのか 第2章 水と飢饉 第3章 水と平等 第4章 公共財への道 第5章 都市における水 第6章 水のストレス 第7章 季節性 第8章 モンスーン経済 訳者解説 注 主要参考文献 索 引
法哲学・規範理論における主著、待望の邦訳。「排除理由」概念を中心的モチーフとして、規範の性質と役割の統一的説明への道を開く。 ルールはどのような意味で規範的なのか、そしてそれは普通の行為理由とどう違うのか。何が規範体系を体系化するのか。法体系は何によって区別され、その内容は何によって構成されるのか。この3つの問題はすべて、理由が持つ特徴的な役割を示すことにより答えられる。ラズ独自の発想や問題提起に満ちている主著を平易な訳文で示す。 【原著】Joseph Raz, Practical Reason and Norms(Oxford University Press, 1999) 序 論 第1章 行為理由について 1-1 理由の構造について 1-2 排除理由 第2章 義務的規範 2-1 規範の実践説 2-2 理由とルール:基本的モデル 2-3 義務的規範の分析 第3章 非義務的規範 3-1 許 可 3-2 権能付与規範 第4章 規範体系 4-1 規範体系のいくつかのタイプについて 4-2 制度化された体系:予備的考察 4-3 制度化された体系:一つの分析 第5章 法体系 5-1 法の独自性 5-2 法と実力 5-3 法と道徳 5-4 法の規範性 第二版への後記:排除理由再考 ある理由のために行動する理由 排除理由 理由の衝突 排除理由とルール:概念的議論 ルールとコミットメント:正当化の議論 排除理由・補説ーー半世紀を経ての訳書刊行に寄せて 訳者あとがき 巻末注 人名索引 事項索引
ネオ・リベラリズムを経て、末期症状を呈する資本主義への新たなオルタナティブとして、「アナーキズムの父」ピエール=ジョセフ・プルードンが、いま蘇る。 気鋭の編集者であり作家の著者ティボー・イザベルによれば、「無政府状態とは「権力の廃棄」を意味する。それは「権力なき秩序」である」。いわゆるアナーキズムに対する言われなき誤解を払拭すべきこのテーゼに基づいて、イザベルは「危機の時代に何度も復活する」プルードン思想への緊急の要請を呼び掛ける。「財産は窃盗である」(『貧困の哲学』)という命題によって一大センセーションを巻き起こしたプルードンは、現代史の原点であるパリ二月革命(1848年)を生き、「人民銀行」を創設、金融の支配と大企業の専横に抵抗した。また、地方の出自に誇りを持ち、ジャコバン的国家に対しコミューンの自治を求めた。『貧困の哲学』に対しては、これに反発したマルクスの『哲学の貧困』をめぐる角逐が名高いが、そうした旧来の文脈を超え、本書は、われわれの「生」の現場を視野に入れたかたちで改めて「経済」のありかを問おうとする。 その意味で、これは新たな「経済学批判」であり、同時に、われわれの「生」のありようを問うものでもある。IT市場を席巻する超巨大企業群(GAFAとかFANGとか呼ばれる)のレッセ・フェールのお説教を横目で睨みつつ、アナーキズムはこの偽りの自由を、国家の首枷抜きに阻止しようとする。イザベルは言う、「プルードンは諸価値の現代的危機の中に自由主義経済の危機の主な原因を見ていたが、同様に、自由主義経済の中に諸価値の現代的危機の主な原因を見ていた。」……このように語るイザベルはプルードンとともに、ポスト資本主義の世界を瞳を凝らして見つめようとしている。彼は『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』の著者ナンシー・フレイザーとともに、「餌に喰いつき、喰い荒そうとする、制度化された狂乱状態」である資本主義の末期状態を見据えつつ、「革命はわれわれの魂の中にある」とする。 ◆主要目次◆ はじめに 現代性の歪み 第1章 アナーキズムの父の生と死 第2章 資本家の捕食に抗して 第3章 現代人の二重の疎外 第4章 各政治体制の悪徳と美徳 第5章 プルードンのイデオロギー的懐疑主義 第6章 極端さのバランス 第7章 完全な連合主義 第8章 個人、コミューン、国家 第9章 保護貿易主義 第10章 所有の理論 第11章 相互扶助論の哲学的原理 第12章 協同的労働 第13章 モラルの必然性について 第14章 神とともにまたは神なしに? 第15章 現実的なものの弁証法 おわりに 精神の革命にむけて
ヘンリー・アダムス賞〈2017年〉受賞作品 真珠湾攻撃の約7ヵ月前の1941年5月、フランクリン・ルーズベルト大統領は、国土安全保障省の前身となる市民防衛局を設立し、ニューヨーク市長のフィオレロ・ラガーディアを局長、ファーストレディーのエレノアを副局長に据えた。これは、外国の攻撃から国民の生命と財産を守るために政府が設けた、20世紀初の連邦機関であった。本書は、迫りくるファシズムの脅威に対し、無防備だった1930年代後半の米国が、どのように備え、対処したのかを詳細に記録し、考察するものである。 フランクリン・ルーズベルト政権におけるファーストレディーのエレノア・ルーズベルトは、人種差別撤廃や人権擁護の活動に力を尽くした。1942年2月19日に発令された日系人強制収容の大統領令に同調することなく、自ら日系人収容所を慰問している。第二次大戦後、エレノア・ルーズベルトは国連人権委員会の初代委員長を務め、彼女がリベラルアメリカの象徴と呼ばれる所以になった。 謝辞 プロローグ 第一章 世界の最終戦争 第二章 条約や協定、象徴や人間性の無視 第三章 二つの局面 第四章 本土防衛の問題点 第五章 アメリカの計画 第六章 ロンドン大空襲 第七章 燃え広がる狂気の炎 第八章 全身全霊をかけて 第九章 我々全員がセントラルパークに逃げ込めるわけではない 第十章 人々は安全を保障されなければならない 第十一章 エレノアが批判のまとに 第十二章 リベラルの軍事化への道 第十三章 FDRの死、そして市民防衛局の終焉 エピローグ 訳者あとがき NOTES
米国、台湾で話題の書 日本の官民関係者必読! 中国共産党が「台湾の祖国統一」の野心を隠さず、習近平は2027年の人民解放軍建軍100周年をその目標と明言する。こうした状況下で中国を抑止して世界平和を維持するための施策を、第一期トランプ政権で対中国を主とするインド太平洋政策を担当したマット・ポッティンジャーが本書で緊急提言。「民主主義国は戦争に備えなければならない」という観点に立ち、台湾有事の全体像を解説し、台湾、米国、日本、豪欧の各地域の政策立案者および軍関係者がなすべきことを、「いま、何をすべきか」という切り口で具体的に示す。さらに、氏のオファーに応えた中国・台湾事情に精通する有識者の特別寄稿を多数収録している点も本書の特徴だ。 本書は米国で2024年夏に刊行された最新刊であり、日米で政権交代のあったこのタイミングに日本語訳版を緊急出版する。故・安倍晋三首相は「台湾有事は日本有事」と発言しているが、台湾を取り巻く安全保障問題は、わが国にとって最重要課題のひとつである。ひとたび台湾有事が起これば、東アジア地域の平和の均衡が崩れて大きな国際問題となるだけに、この機に読み逃すことはできない書であることは間違いない。
NYタイムズベストセラー アマゾンBest Business and Leadership Books of 2024 So Far第1位 『限りある時間の使い方』著者オリバー・バークマン絶賛の話題書! 今こそ、仕事を「減らそう」。 すべての仕事に追われる知的労働者に向けて、 疲弊せず、質の高い成果を出すための「新しい働き方」を紹介。 私たちは今、「ニセモノの生産性」によって疲弊しています。 ToDoやオンラインMTGに追われ、ようやく落ち着いたと思ったらメールやチャットの返信に追われる。 一見すると「働いている」ように見えるこの状況を、著者は「ニセモノの生産性」と呼びます。 この状況が、大切なことに頭を使う時間を遠ざけると同時に、 知的労働者たちをバーンアウトに導いているのです。 本書では、さまざまな偉大な成果を出した人が紹介されていますが、 彼らの働き方に共通するのは「SLOW」に働いていることです。 やるべきことを減らし、余裕のある心地よいペースで働くことで、 大きなことを成し遂げることができるのです。 本書では、この働き方をスローワーキングと呼び、 私たちがそれを実践するための具体策を「スローワーキング3原則」に則って教えてくれます。 1やるべきことを減らす 2心地よいペースで働く 3クオリティにこだわり抜く 「仕事を減らす」「心地よいペースで働く」と言うと、 仕事をさぼっているような印象を受けるかもしれません。 しかし、そう思うことこそが、 まさに「ニセモノの生産性」に捉われている証拠なのです。 本書によって働き方を「SLOW」なものにアップデートすれば、 仕事に心を擦り減らず、圧倒的な成果を出し続けるようになることでしょう。 プロローグ 【パート1 ニセモノの生産性】 第1章 生産性のウソを暴く 第2章 もっといいやり方を見つける 【パート2 仕事の減らし方】 第3章 削減 -- やるべきことを減らす 第4章 余裕 -- 心地よいペースで働く 第5章 洗練 -- クオリティにこだわり抜く エピローグ
建築が金融商品になり下がるとき、 そのデザインに何が起こるのか? その「かたち」は、社会にどんな影響を及ぼすのか? あらゆるものが金融商品と化するこの時代、 建築はその最たるかつ最大のものであるといえる。 建築が金融商品に「最適化」されるとき、 その形は極端にゆがめられてしまう。 その結果生まれた「氷山」、「ゾンビ」、「極細」建築とはいかなるものなのか。 建築家はそれを受け入れるのか、あるいは抵抗するのか。 そして実際につくられた建築の形態は、都市や社会の本質に何をもたらしているのか。 ザハ・ハディド、リチャード・ロジャースやP・V・アウレーリ(DOGMA)、 さらにはアルド・ロッシやアドルフ・ロースなどの作品を比較検証しながら金融化との建築家の距離感を分析し、 バーチャル空間の金融フィクション化(Fi-Fi)までをも射程に含める、新時代の建築評論。 「資本主義の欠点にどう対処するのかという問題について、建築は長らく取り組んできた。しかし、いかなる攻撃をも吸収する資本主義の強欲さはよく知られるところである。建築は今や金融であるため、優れた批判的思考力を持った建築家は、ある種の批判的な金融を実践する必要がある。これは建築家が銀行家になるべきだという意味ではなく、建築家が構造エンジニアと協業しているのと同じような方法で、これからは金融業者と協力することを検討してもいいのではないかということだ。……批判的かつ創造的な行為としての建築は、21世紀においてその目的を改めて主張するために、活動領域を拡大しなければならない。」(本書より) 第1章 金融資本主義と建築 第2章 ゾンビとゴースト、成長と衰退 第3章 金融のかたち 第4章 超富裕層とスーパープライム 第5章 単純化とポスト・ソーシャル 空間 第6章 住宅用アバターと生活用サロゲート 第7章 不変のオブジェ 第8章 Sci-FiからFi-Fiへ
ベストセラー『センスメイキング』に続く、クリス チャン・マスビアウの待望の新刊が発売!! 経営は現象学を理解すればうまくいく。 ・なぜヨガは精神からスポーツの世界に移行した? ・なぜ寿命が延びる可能性がある医薬品を拒む人が いる? ・なぜ環境が重要だと訴えてもEVは売れない? マスビアウが重視するのは、ウィトゲンシュタイン やメルロ=ポンティの哲学的アプローチによる物事 を観察である。 また優れた観察力を持つ者は何ごとも注意深くじっ くり考え、結論を急ぐことがないという特徴が共通 するという。 その意味での「注意」とは、たとえば通りを歩くと きにうっすらと広く全体をカバーする様子のことで、 何かに集中するのではなく、すべてに注意を払って いる状態が重要となるのだ。 本書に書かれたメルロ=ポンティがハイパーリフレク ションと呼ぶメタスキルを身につけることで、ビジネ スに役立つだけでなく、世の中を見る眼が一変するに 違いない。 はじめに 何よりも難しいのは、本当にそこにあるものを見ることである 見る作法 観察することとは、どういうことか 経験をどのように研究すればいいか 大切なのは「何を考えているか」ではなく「どのように考えているか」だ 観察することは、意見ではない 観察結果から気づきを得る パート1 準備編 何かを見ている自分自身を見るという練習 知覚の魔法 最初のルッキングラボーーーーゲシュタルトの物語 1.「全体」の捉え方を科学者に学ぶ 2.「全体」の捉え方を芸術家に学ぶ 現代の3人の芸術家がつくるゲシュタルト しきたりや常識にとらわれずに見る 「注意する」とはどういうことか 準備編の参考資料 世界の見方を巡る6つのよくある誤解 誤解その1:私たちが見聞きしているのは、生のデータである 誤解その2:科学ですべてを説明することができる 誤解その3:カメラのように見る 誤解その4:知覚は知的である 誤解その5:見ることは主観的である 誤解その6:注意は焦点を合わせることである パート2 実践編 大発掘ーー純粋な観察から始める グループの立ち話という経験 美術館を歩き回るという経験 路上で寝るという経験 ジャムセッションの経験 論文や思考に学ぶ観察術 実践を触発する練習 見ることのイノベーションーー疑いのレンズで見る 聞く作法ーーーー社会の沈黙に注意を払う 文化的な変化を探すーーーー変化はどのように起こるのか 細部を観察するーーーー気づきへの入り口を見つけるということ 現在に未来を見るということーーーー私のルッキングラボ物語 正常で微妙な慣行を観察する 今、未来を見るために何をすべきか ハヤブサがすべて教えてくれる 教訓1:本当にそこにあるものを見よ 教訓2:観察は執念で決まる 教訓3:良い観察内容には常に観察者も含まれている 教訓4:観察は意見ではない 教訓5:観察は体系的なウォッチングから始まる 教訓6:場の雰囲気を見落とすな 教訓7:ハヤブサのように生きる 教訓8:ハヤブサの目で知覚する 教訓9:観察に当たっては、「性格の徳」を忘れない 観察には時間がかかる 謝辞
現存する8種のクマを追って、アンデスの雲霧林からインドのジャングル、そして北極の海に浮かぶ氷原まで、世界各地を訪れる。そこから見えた、クマたちの過去と現在、そして未来とは。開発により生息環境が脅かされているメガネグマ、熊胆を採取するために飼育されているマレーグマ、徹底した管理で数が回復してきたパンダ、人との衝突が深刻化するアメリカクロクマなど、転機を迎えつつあるクマと人の関係はどこへ向かうのか。世界のクマの現状を掘り下げ、野生動物との共生のあり方を考える。 第I部 南アメリカ 第1章 雲に棲まうもの(メガネグマ、エクアドルとペルー) 第II部 アジア 第2章 死と踊る(ナマケグマ、インド) 第3章 ソフトパワー(パンダ、中国) 第4章 黄金の液体(ツキノワグマとマレーグマ、ベトナム) 第III部 北アメリカ 第5章 野生の世界を飛び出して(アメリカクロクマ、米国) 第6章 グリズリーの再来(ヒグマ、米国) 第7章 氷上を歩くもの(ホッキョクグマ、カナダ)
SFからテクノトピアまで 未来論が流行している。背景には、危機と不確実性がある。一九七〇年代に流行した折には、資源危機と南北対立を受けていた。本書は、著者が二十五年にわたって「未来学」で発見した、さまざまな側面に光を当てる。 とりわけ、科学的な予測と根拠のない憶測の間に横たわる、未来をめぐって生じる葛藤に、フランクフルト学派の批判理論の観点から光を当てる。 未来は時間なのか場所なのか、あるいは、時間は円環なのか直線なのか。未来について人々が思考をめぐらせてきた三千年にわたる歴史は近代以降、マルサス的な終末論とテクノオプティミズムの両極端で宙ずりになっている。 こうした未来論の整理は、未来を論じる学問的素地がほとんどない日本ではより重要である。一九七〇年前後、小松左京、梅棹忠夫らが未来学の創設を目指し、機運が高まった時期もあったが、その後日の目を見ず、現在に至っている。 預言者からSFまで、ルネサンス・啓蒙思想からテクノトピアまで、人類が夢見た未来を概観するはじめての入門書。オックスフォード大学出版局の入門シリーズ(VSI)の待望の翻訳。
元祖インフルエンサー、 全米を揺るがした暴露的自伝。 「有名であることで有名」 00年代のメディアと大衆は、女性を、ADHDの当事者を、 児童虐待と性暴力の被害者を、どう扱ってきたのか。 そして彼女はいかに生き延び、 ビジネスとアートの世界帝国を築き上げることに成功したのか。 ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー サンデー・タイムズ・ベストセラー 累計30万部突破! 夜な夜なクラブを渡り歩き踊り明かす ホテル王ヒルトン家の長女・パリス。 ある日、両親の目の前で、 二人の男に自宅のベッドから引きずり出され、手錠をかけられる。 連れていかれたのは、「情動発達プログラム」を実践するという寄宿学校ーーCEDU。 子どもたちが次々と罵られ、殴られ、飢え、洗脳され、 姿を消すなか、彼女はいかに生き延び、スターとなったのか。 ゼロ年代のポップカルチャーのあり方を、女性の扱われ方を、清算する一冊。 時は来た。 私の物語を知る必要がある若い女性は大勢いる。 私の失敗から学んでほしいとは思っていない。 自分の間違いで、自分を嫌いになってほしくない。 私は彼女たちに笑い転げてほしい。 彼女たちには声がある。知性というブランドがある。 みんな、周囲に馴染むなんてクソだから。 ーーパリス・ヒルトン プロローグ ヒルトン家の家系図 第1部 生まれながらのパーティーガール 第1章 このドアは閉めておくこと 第2章 スター誕生 第3章 被害者になるか、インフルエンサーになるか 第4章 スリヴィングなグラム・クラッカー 第5章 レイヴとパパラッチ 第2部 サバイバル 第6章 情動発達プログラムーー「家族は再びひとつになるのです」 第7章 移送と検査 第8章 地獄のラップ会 第9章 犠牲者の眠る森 第10章 罰 第11章 脱走 第12章 独房 第3部 スタートアップ 第13章 Y2Kが来る! 第14章 セックステープの流出とプライバシーの商品化 第15章 運命の一枚 第16章 最高の喜劇 第17章 私がイット・ガール 第18章 PTSD 第4部 リブランディング 第19章 SNSとインフルエンサーの時代 第20章 カミングアウト 第21章 出会い エピローグ 謝辞 訳者あとがき
「使命を守りながら企業を変革していく。究極のバランスをストーリーで描く必読書」 斉藤徹氏(『だから僕たちは、組織を変えていける』著者)推薦! アップル、ソニー、NASA、オールブラックス…… 英国経営学者が世界中の組織を分析し、成功への法則を示す。 あなたのチームが進化し続けるための長期的な哲学とは? ●なぜNASAは学生向け技術コンテストを毎年開催し、生徒と保護者へ普及活動を続けるのか?(習慣2 子供とその子供のために) ●マンチェスター・ユナイテッドは選手とスタッフの延べ経験年数を“計300年”にしてリーグ優勝を続けた。(習慣4 ギャップをつくらない) ●「うまくいったことの中で悪かったと思う点は?」英ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの“成功と失敗”から徹底的に学ばせる教育。(習慣10 すべてを見通す) ●現代の先進企業アップル、フェイスブック、グーグルが社内にカフェを持っている理由を考える。(習慣12 共に食事を) 「センテニアルズ(百年組織)は野心的な長期目標を掲げ、それを追求する過程で、 短期的な利益に屈することを拒絶する。」 あなたの組織の”コアづくりと変革的進化”バランスを計測するチェックシート付き。
「つぎは台湾です。」 そのとおりだと思う、とトランプはいった。 * * * 習近平は米国の混乱をどう見るか。 中東は全面戦争に突入するか。 トランプとプーチンの「取引」とは。 瀬戸際にある世界情勢を描く。 発売即、米Amazon総合1位、ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラーランキング1位。話題の全米ベストセラー! * * * トランプは宣言した。「ヨーロッパと中東でいま、戦火が燃え盛っている。台湾、朝鮮半島、フィリピン諸島、アジア全域で紛争の懸念材料がひろがり、覆いかぶさっている。そして、私たちの惑星は第三次世界大戦の瀬戸際にある」 * * * ●ピュリツァー賞を2度受賞したアメリカを代表するジャーナリストが、ウクライナ、中東、アメリカ大統領選という「3つの戦争」の舞台裏を徹底取材。 ▼大統領退任後も続く、トランプとプーチンの真の関係性とは? ▼「影の大統領」として振る舞うトランプは、どのようにして政治的影響力を強めていったか? ▼トランプ暗殺未遂事件。シークレットサービスやバイデンは脅威を事前に把握していた? ▼第三次世界大戦に発展しかねないウクライナ戦争に、なぜ米軍を派遣しないのか? ▼ロシアは核兵器使用を真剣に検討していた。アメリカはどのようにして核の惨劇を思いとどまらせたか? ▼中国の習近平と北朝鮮の金正恩は、ウクライナ戦争に対するアメリカの外交姿勢をどう見る? ▼中東で戦闘地域を広げるイスラエルのネタニヤフ首相は、もはやアメリカもコントロール不能? ▼バイデンへの「復讐」を誓ったトランプ。大統領選の裏側とは? 著者の個人的覚書 プロローグ 1章〜77章 エピローグ 読者への覚書 謝辞 訳者あとがき 情報源について
私たちはなぜ死ぬのか? ノーベル賞学者が語る驚きの真実 生物学に革命が起きている。 人類史上初めて、老年期の健康状態を改善し、最大寿命を延ばせる可能性が高まっている。 急速に進む寿命と老化と病の研究は、人類に何をもたらすのか? ノーベル化学賞受賞の生物学者が最新の科学的知見をもとに寿命と老化を解説。 ・なぜ私たちは老いるのか? ・なぜある種の生物は、他の生物よりも長生きなのか? ・充実した健康長寿のために、何をすればよいか? ・どのような食事、運動、睡眠が必要なのか? ・アンチエイジング治療やカロリー制限には意味があるのか? ・寿命を延ばすことが可能になったとき、人類には何がもたらされるのか? 英国王立協会科学図書賞最終候補作(2024年) 「100年以上前の遺伝子の発見とともに始まった生物学の革命によって、今日私たちは岐路に立たされている。 老化の根本原因にかかわる近年の研究によって、人類史上初めて老年期の健康状態を改善できるだけでなく、人間の最大寿命を延ばせる可能性が高まっているのだ。」--本書より はじめに CHAPTER 1 不滅の細胞と使い捨ての肉体 CHAPTER 2 生き急ぎ、死に急ぐ CHAPTER 3 破壊される遺伝子 CHAPTER 4 問題は末端にあり CHAPTER 5 生物時計をリセットする CHAPTER 6 ゴミのリサイクル CHAPTER 7 過ぎたるは及ばざるがごとし CHAPTER 8 小さな虫が教えてくれること CHAPTER 9 私たちに巣くう寄生生物 CHAPTER 10 満身創痍の肉体と吸血鬼の血 CHAPTER 11 ペテン師か、預言者か CHAPTER 12 私たちは永遠の命を手に入れるべきなのか 謝辞 原註
みなが選挙にいけばよい、というものではない! 何となくの常識にとらわれず、私たちが投票すべき理由について根本から問い直す。 「市民には投票する道徳的義務がある」「投票率は高ければ高いほどよい」「自分が良いと思った候補者に自由に投票してかまわない」こうした常識を正面から疑い、真剣に投票すること、また投票を棄権することの意味を深く緻密に考える。私たちは投票にあたっていかなる態度を取るべきなのか。極めてアクチュアルな政治的・倫理的考察。 【原著】Jason Brennan, The Ethics of Voting(Princeton University Press, 2011) 謝 辞 序論 倫理的問題としての投票 なぜ投票が問題となるのか? 投票は何と区別されるか? 常識的見解に対する反論 投票する権利か、投票の正しさか 平等な投票権を讃えて 最高だぜ、民主主義 現実の投票者はどれほどうまくやれているのか? 情報を取得するためのいくつかの方法 全ての票を数え入れる 正義と共通善 この先にあるもの 第一章 投票の義務の擁護論 投票する義務があると思われる場合 一票の道具的価値からの論証 因果的責任 投票する義務? 公共善・公共財に基づく論証 徳からの論証 第二章 政治なしの市民的 投票への賛同を示す三つの論証 市民的徳についてのリベラルな理論に向けて 「市民的徳」が未解決のままにしているもの 市民的徳の政治外的構想 市民的徳の政治外的構想はどれほど負担となるか? なぜ投票する義務がないのか? 藁人形の論証・再訪 第三章 間違った投票 言い訳の余地のない有害な投票 集合的危害を差し控える義務 泡沫候補への投票と個人のポイ捨て まぐれ当たりの投票 許容不可能なリスクを課さない義務 冗長性 宗教的な投票 反論:政策ではなく人柄に投票する人々 反論:表出的投票 反論:この命題は自己否定的である まとめと結論 補遺1 囚人のジレンマ 補遺2 コモンズの悲劇
〈アンディ・ウィアーは自分の幸運に目を疑った。ずっと作家になりたかったのだ。9歳のとき……以来ずっと〉(本書より)。 ベストセラー小説『火星の人』の作者ウィアーに幸運をもたらしたのは、デジタル革命だ。彼は、ウェブサイトに作品をアップロードしたり、Kindle版を自ら出版したりしたことで多くの読者を得た。グーテンベルク以来、出版社という門番に認められない限り、原稿が本として広く読まれるチャンスはほとんどなかったが、今や、作品を読んでもらうために、出版社や実店舗書店を通す必要は必ずしもなくなっている。 社会学者にして、独立系出版社Polityの経営にも携わる著者は、デジタル革命が書籍サプライチェーンを破壊して創りかえた歴史を、膨大な統計資料、約180件の出版・テック業界関係者インタビューから論じる。 本の全ジャンルで印刷書籍が電子書籍に追い出されることはなかった。従来型書籍産業は、GoogleやAmazonといった巨人たちと「ブック・ウォーズ」を闘う羽目になった一方で、マーケティング新技術やクラウドファンディング型・サブスクリプション型出版モデルを手にしてもいる。オーディオブックという新形式も生まれた。さらに、小説をアップロードできるソーシャルメディアで、作者と読者が直接交歓して新たな作品が創られるようにもなっている。 本の未来を憂う、すべての書籍産業関係者、読者のための新たなる基本書。
世界的ベストセラー、待望の実践書。最高の走りを体感せよ‼ 楽に、軽く、スムーズにーータラウマラ族の秘密はそこにあった! 実践者となり、マクドゥーガルは新たな冒険に乗り出す。そして、一匹狼のウルトラランナー〈白馬〉を通して、タラウマラ族の感覚を身につける以下のポイントを知る。 ・フットウェアをフラットに ・1分間の歩数を速める ・完璧なフォーム(10分で学べる!) 伝説の民族の教え、長年にわたる調査、世界各地のランナーの経験が結集。食事、フィットネス、楽しみ方などランを再起動する七本柱、生涯アスリートを支える90日間プログラム、故障の予防と治療を解説。ランナーズ・バイブル『BORN TO RUN』のスピリットが息づく決定版トレーニング。
1910年代末のアメリカ。ケチな詐欺で食いつないでいたジョン・R・ブリンクリーは、ヤギの睾丸を人間に移植して「男性の衰えた精力をみるみる回復させる」という突飛な手術を看板に、カンザス州の片田舎で商売に乗り出す。 全くデタラメな治療にもかかわらず、天才的なマーケティングで騙されやすい大衆に怪しい効能を売り込むと、インポテンツに悩む何千人もの顧客が全米中から殺到。ブリンクリーの手法は大当たりし、「カンザスの救世主」はアメリカで最も裕福な医師として成功する。 一方、偽医療撲滅運動家のモリス・フィッシュベインは、この「最悪のペテン師」を地獄に追い込むと密かに誓う。 ブリンクリーはその後も天才的な創意をくり出す。「朝飯前に金儲けのネタを3つ思いつく」という彼は、新興メディアのラジオに着目。世界最強の電波を発するラジオ局を誕生させ、「ラジオ司会者の元祖」としてリスナーにバリトンの美声で語りかける。詐欺ビジネスはますます繁盛、世間はその強力なパワーに翻弄させられる。 時は世界的な大恐慌のまっただ中。人びとは生活の不安から、有能なビジネスマンとして自分たちを率いてくれるリーダーを求めていた。天敵・フィッシュベインとの対決を経て、ブリンクリーは世間の圧倒的な支持を背景に、いよいよ政治の世界に挑戦するーー 本書は、天晴れなほど大胆な悪党の魅力的な評伝であり、アメリカという楽天性とアナーキーにあふれた社会の肖像を、コミカルかつ警告的に描くノンフィクションである。 ヤギの睾丸を移植した男 謝辞 訳者あとがき
「積み重ねがだいじ」「抽象的だから難しい」「正誤がはっきりしている」 ……それって本当? ずっと信じられてきたドグマ(思い込み)から抜け出せば、 もう算数も数学もこわくないーー 頭と心を耕す、新しい数学のすすめ なぜ算数・数学にまつわる思い込みは生まれ、長らく信じられてきたのか? どのように学びを妨げ、たくさんの子どもたちに不安を与えているのか? 数学という学問の歴史や本質を読み解き、 「積み重ねがだいじ」「限られた人にしかできない」など5つのドグマを打ち破っていく。 実践セクションでは、楽しく学ぶアイデアや教室でのアクティビティなど、 オルタナティブな教え方・学び方を紹介。 算数・数学を学ぶ子どもたち、教える先生や大人たち、そして学び直す人たちに、 自信とインスピレーションを与える一書。 学びのルートは一つじゃない! 【目次より】 ◆ドグマA 数学は積み重ねが大事なつみきのような教科である ……という思い込み ◆ドグマB 数学は常に正しいか間違っているかである……という思い込み ◆ドグマC 数学は文化に左右されない……という思い込み ◆ドグマD 数学は才能のある人のもので、みんなのものではない……という思い込み ◆ドグマE 数学は抽象的だから難しい……という思い込み 【目次より】 ◆ドグマA 数学は積み重ねが大事なつみきのような教科である ……という思い込み 実践編A:小学校で文字式を学習する ◆ドグマB 数学は常に正しいか間違っているかである……という思い込み 実践編B:記号的構造環境 ◆ドグマC 数学は文化に左右されない……という思い込み 実践編C:社会の文脈に対応した数学 ◆ドグマD 数学は才能のある人のもので、みんなのものではない……という思い込み 実践D:共同的な数学を目指して ◆ドグマE 数学は抽象的だから難しい……という思い込み 実践編E:指を使って数と計算を学ぶ
国境は人々を分断し、レイシズムを助長し、世界的な格差を拡大する。そして「不法移民」監視テクノロジーは、移民のみならず私たちすべての自由と安全を脅かす。国境とは私たちの日常にある脅威なのだ。では、誰もが移動と居住の自由をもつ世界はいかにして可能だろうか? 国境の害悪と不要性、そして廃絶のヴィジョンを明快に描く。 序 章 1 常識という名の国境 2 国境はいたるところにある 3 国境は最近生み出されたものである 4 国境はもはや不用である 第一章 人種 1 植民地近代性、ナショナリズム、不均等な移動性 2 ポストコロニアルな国境化 3 反レイシズムと国境廃絶 第二章 ジェンダー 1 偽装結婚ーー配偶者として数えられるのは誰か? 2 国民を再生産するーー親として数えられるのは誰か? 3 「家族生活」の限界 4 家事労働とセックス・ワークーー労働者として数えられるのは誰か? 5 犠牲者扱いではなくエンパワーメントを 第三章 資本主義 1 資本主義とは何か? 2 入国管理と労働 3 国境廃絶の視野は国際的である 4 コモンとして共有された世界 第四章 取り締まり 1 「外国人犯罪者」と無実さの罠 2 監獄廃絶に学ぶ 第五章 テロ対策 1 対テロ戦争と市民権の剥奪 2 予防、取り締まり、敵の根絶 3 シティズンシップの廃絶? 第六章 データベース 1 敵対的環境とデジタル国境 2 個人識別と近代国家 3 IDカードとデータベース国家 4 デジタルIDシステムとグローバル貧困層の管理 5 アイデンティティ・ポリティクス 第七章 アルゴリズム 1 ロボット国境とドローン警察 2 AI国境警備、新型生体認証、相互運用データベース 3 利潤と予測 4 アルゴリズムが人を送還するのではなく…… 幕間劇ーー未来1 ある国境化されたディストピア 第八章 廃絶主義 1 非改良主義的改良 2 入国管理の改革をめぐる五つの質問 3 次はどこへ? 幕間劇ーー未来2 1 ありうるユートピア 2 廃絶主義の未来 原 注 用語集(柏崎正憲) 日本の読者のための解題(梁英聖) 訳者あとがき
〈リベラル〉に反旗を翻す白人たちーー 何が〈中欧〉の人々を憎悪に走らせているのか? 2014年に「非リベラルな民主主義」を高らかに宣言したハンガリーのオルバーン首相。その理念は米国のトランプやロシアのプーチンとも共鳴し、強権的政治が世界に広がりつつある。中欧は反リベラル現象の震源地なのか? 中欧出身の文化人類学者が、民主主義の危機の背景にある「白人」間の人種差別(レイシズム)を解き明かす衝撃作。 「いろいろなことが中欧ではひどい状態になっているし、西欧のほうがよい状態だということは僕も認める。でも僕が本当に言いたいのは、西欧のほうが「それほど」よいとは言えないということ。そしてもし、中欧のほうがよくないとしたら、それは西欧にも責任の一端があるということだ。」(「まえがき」より) まえがき あるカナダ系「中欧人」の告白 序章 人種、非自由主義、中欧 第一章 こうして東欧人はあまり白人でなくなった 第二章 こうして中欧人は東欧人になった 第三章 こうして中欧人は何度も中欧人になった 第四章 中欧ーー「半分だけの真実」と事実 第五章 最後の白人男性ーー白無垢な中欧 第六章 「東欧人は恥を知らないのか? 」 --中欧における反ユダヤ主義、レイシズム、同性愛嫌悪 第七章 拒絶された模倣 --西欧はなぜ中欧に東欧のままでいてほしいのか 第八章 「我々は植民地にはならない!」 第九章 スラヴィア・プラハ対グラスゴー・レンジャーズ --あるサッカーの試合を教訓に 終章 移民がやって来るとき 訳者解説ーー文化人類学者がみた中欧の政治
世界を壊すよりも救う方が安くあがる! ビル・ゲイツ絶賛! 非凡な才能とアイデア、新テクノロジーによる競争の時代が始まった。 5000兆円規模のクリーンエネルギー産業の最前線。 このまま二酸化炭素を排出し続ける経済成長を目指すよりも、資本主義のなかで、新しいテクノロジーで新しい市場を作る方がはるかに合理的だ。 「楽観主義が必要な人にとって重要な一冊!」ビル・ゲイツ 「目もくらむような意義深い報告」デイヴィッド・ウォレス・ウェルズ(『地球に住めなくなる日』著者) 「彼は、力強く希望に満ちたメッセージを中身のあるスタイルで伝え、経済を再構築するうえで、優れたストーリーテリングが果たす役割が非常に重要であることを思い出させてくれる」ポール・ポールマン(『ネットポジティブ』共著者/ユニリーバ元CEO) 「排出量削減の努力は、現在広く認識されているよりもはるかに大きく成功していると気づかせてくれる、読み応えのある一冊だ」ピリタ・クラーク(「FT」紙ビジネス/コラムニスト) 「大胆な新刊だ。気候変動は喫緊の行動を必要とする危機だが、著者は資本主義を活用してそれに取り組む方法を示している。あなたの人生の破滅論者に贈ろう」ジョン・シュワルツ(UTオースティン校教授/NYT記者) 「著者ほど、気候変動に対処するための我々の現在の取り組みを説明し、評価するのに適した人物はほとんどいない。そして私たちがうまくいくかもしれないという希望を与えてくれる。感動的な本だ」キム・スタンリー・ロビンスン(『レッド・マーズ』著者) 世界の平均気温が産業革命前と比べて1.5℃ではなく2℃上昇すると、世界規模で100兆ドルの経済損失が生じる。2050年に二酸化炭素排出量ゼロどころか、さらに意欲的な目標の達成が求められる。 現代文明を支えるエネルギーシステムを再構築し、地球上の80億人を養う農業システムを再考し、人類とこの惑星の関係を作り変えるのに、残された時間は30年足らずだ。 大気中に過剰な温室効果ガスが放出される一因は野放しの資本主義なので、同じ轍を踏むわけにはいかない。だが、そのうえでゼロ・エミッション〔環境汚染物質の排出をゼロに近づけること〕を短期間に実現するには、資本主義の刷新が唯一の現実的な方法かもしれない。
国、民族、組織、世代などが異なるグローバルな環境のなかで効率よくリーダーシップを執るのに有効な、異文化理解に関する知能指数CQ(Cultural Intelligence Quotient)を紹介。多様なケーススタディをもとに、ビジネスの実践に即した知見を提供する。 序章 パート1 グローバルなビジネス・リーダーにとってのCQ 第1章 文化の影響は侮れないーなぜCQが必要なのか 第2章 CQとは何か パート2 CQを伸ばすために 第3章 CQへの動機ー異文化に適応するための潜在能力を見つけ出すこと 第4章 CQに関する知識(パート1)-どのような文化の違いが問題になるのか知ること 第5章 CQに関する知識(パート2)-文化的価値観の10側面を理解すること 第6章 CQに関連した戦略ー根拠なく「ガッツ」を信じすぎないこと 第7章 CQを用いた行動ー異文化圏でもある程度偽りのない自分自身でいるべき パート3 CQの活用 第8章 CQの高いリーダーへの見返り(リターン) 第9章 CQの高いチームの育成 終章 グローバルなリーダーに本当になれるのだろうか? 謝辞 付録 10種類の文化クラスタ 訳者解説
博識にして、ゴキゲンな租税史だ… 税金は払うより、読んだほうがずっと楽しい… 税理士にぜひ確認してほしいーーこの本は控除対象かもしれない。 ダニエル・アクスト(『ウォールストリート・ジャーナル』) これ以上タイムリーで、愉快な歴史は想像できない。 バリー・アイケングリーン(カリフォルニア大学バークレー校教授) 読んで、学んで、楽しむ、ご準備を。 クリスティーヌ・ラガルド(欧州中央銀行総裁) 愉快で、同時に、ためになる。 ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授) 「本書でとりあげるのは数千年の期間に生まれた物語の数々である。シュメールの粘土板、カリグラ帝の奇抜な税制から、パナマ文書で暴露された狡猾な租税回避や、ブロックチェーン技術で可能になる税務の仕組みまで。…とはいえ、この本は税金の歴史をまとめた歴史書ではないし、税金の原則を教える入門書でもない。その両方の要素を少しずつ持っている。… 税金の原則がわかれば、税金の歴史をとらえるのに役立つ。…一方、税金の歴史がわかれば、税金の原則を解き明かすのに役立つ。…税を立案し、導入するときに取り組むべき問題(公平性、帰着分析、効率性、最適課税などなど)は、基本的に昔もいまも変わらない。… この本の核心をなす基本的なポイントは、税制のよしあしを定める原則の多くがどの時代にも見てとれるということである。それらの原則に目を向ければ、過去を知り、テクノロジーの発展とともに変わりゆく未来のために賢い選択を行なうのに役に立つ」(はしがき) 税の歴史で原則を学べば、「つまらない政治的レトリック」に惑わされなくなるかもしれない。
人は動物をどう扱うべきか。動物を愛することと、食べるために殺すことは両立するのか。 動物の肉は商品であり、畜産は工業生産と変わらない。しかし動物も人間も同じいのちを持つ。この矛盾をどう引き受けるのか。ノーベル賞作家クッツェーの「動物のいのち」を素材に、倫理的思考の基盤をさぐるダイアモンドの論考を起点にして、米哲学界の巨匠カヴェルや、分析哲学界の俊英マクダウェル、科学哲学者ハッキングらが動物と人間の倫理的関係をめぐって根源的思索を展開。近年の動物の権利論や人間の道徳的責任論とは一線を画し、人間の分裂した内面の傷に動物への共感と倫理の萌芽を見る繊細な思考と響きあう応答。 傷ついた動物と倫理的思考のために(訳者まえがき) 序 露わさ(ケアリー・ウルフ) 第1章 現実のむずかしさと哲学のむずかしさ(コーラ・ダイアモンド) 第2章 伴侶的思考(スタンリー・カヴェル) 第3章 スタンリー・カヴェルの「伴侶的思考」についての論評(ジョン・マクダウェル) むすび 逸れ(イアン・ハッキング) 訳者あとがき
赤軍兵士はなぜあれほどまでに戦えたのか ソ連から見た、独ソ戦の貴重な記録 1942年の独ソ戦の最中に歴史家イサーク・ミンツが組織した委員会。歴史家たちは戦線に赴き、スターリングラードで戦った将兵や民間人の声を聞き取って速記録にのこした。また従軍記者だった作家のヴァシーリー・グロスマンも多くの声を聞き取った。本書は、ミンツがユダヤ人であったがゆえに長らく公文書館に封印されていた膨大な記録を、ドイツの歴史学者ヘルベックが調査し、70年ぶりに蘇らせた記録である。ドイツ側視点に偏りがちだった独ソ戦の真実にソ連側の視点から迫る。待望の邦訳! 歴史家は聞き取りを系統立てて行った。ときには、同じ師団の数十人に話をきいている(指揮官、その政治補佐、司令部将校、連隊長や中隊長、兵卒)。本書で兵士二十四名のインタビューを紹介する第三〇八狙撃兵師団は、九月にスターリングラード北西部での戦いに敗れて多大な損害を出した後、市内に投入されて「バリケード」大砲工場を守りながらドイツ軍と戦っている。「赤い十月」工場で歴史家が話をきいた技師は、破壊された工場の復興計画をもう口にしていた。二十名以上に話を聞いた第三八自動車化狙撃兵旅団は、パウルス元帥と第六軍司令部を探し出して捕虜にしている。語り手一人ひとりの話は全体像の一部であり、どれも主観的だ。だが個々の話を積み重ねると、戦場における兵士の多面的できわめて詳細な姿が浮かび上がる。特色は、バランスの良さだけではない。共通の経験を明らかにし、赤軍が軍事組織としてどう機能していたかも明らかになる。だが、スターリングラードの記録は、このように率直で多面的であるが故に、その後の運命に否定的に作用した。軍の検閲官から出版許可を得られず、お蔵入りになったのだ。その記録が、今ようやく日の目を見る。「史料解題」より Jochen Hellbeck DIE STALINGRAD PROTOKOLLE:Sowjetische Augenzeugen berichten aus der Schlacht ◎目次 第一章 史料解題 命運を決する戦い/決戦/戦いの解釈/革命の軍隊/スターリンの街/戦争に 備えて/戦時の軍と党/指揮官と政治委員/クローズアップ/英雄に倣う/良 い兵士と悪い兵士/戦いのかたち/戦場の人びと/アヴァンギャルドの歴史家 /委員会はスターリングラードへ/速記録/史料選択と編集方針 第二章 兵士の合唱 一 街と住民の運命 二 料理女ーアグラフェーナ・ポズニャコワ 三 グルチエフ狙撃兵師団の転戦 四 ヴァシーリー・グロスマンの「主力の進路」 五 ラトシンカ上陸 六 パウルス元帥を捕える 第三章 九人の語る戦争…
◎限りある人生を輝かせる、ストア派三哲人の教え 名著『生の短さについて』を残すも、皇帝ネロから自害を命じられたセネカ。 皇帝ハドリアヌスをはじめ、高名な知識人がその学校を訪れたエピクテトス。 ハドリアヌスと同じく五賢帝の一人で、『自省録』で有名なマルクス・アウレリウス。 ストア派を代表する三哲人による、「良き人生」を送るための考え方は 人間関係のつまずき、思いもよらない逆境、愛する人の死──などに苦しみ悩む 現代の私たちを、「正しい道」へと導いてくれる。 ・他人の感情をコントロールすることはできない ・災難か好機かを決めるのは自分 ・歴史書や文学書を読み、自分のために時間を割く ロンドン大学の人気講師による、ストア哲学の格好の入門書! 「生き方のヒントを超えたこの世界の真実を、 ストア派の哲学は教えているのではないか」(解説・橋爪大三郎)
なぜリベラルは敗北するのか? なぜトランプは大統領になれるのか? オルタナ右翼はリベラルが生み出したモンスターである。 マーク・フィッシャーに並ぶ論客による、オルタナ右翼・トランプ主義者研究の最重要書 本書は、2010年代初頭に起こったインターネット文化戦争を忠実に記録し、それが2016年のドナルド・トランプ大統領誕生に大きな役割を果たした「オルタナ右翼」となって発展する道行きをマッピングする。オルタナ右翼の特徴が、60年代カウンターカルチャーに由来する「侵犯的な反道徳スタイル」だとしたら? 本来リベラルであったインターネットのサブカルチャーは、どのように右傾化し、メインストリームを征服していったのか? 「中流階級が自己懲罰として自らを鞭打ち、それが危険な荒波となってリベラル左派を飲み込み、道を見失わせる。アンジェラ・ネイグルはそのなかで、灯台守となってわたしたちに出口を示す。彼女の分析は容赦ないが、決して残酷ではない。疎外と敗北に慣れすぎた多くの左派とは異なり、ますます残酷になる世界を変える唯一の方法として政治を信じている。彼女はわたしが待ち望んでいた作家であり社会評論家だ」--コナー・キルパトリック「ジャコバン・マガジン」 「ネイグルは世界でもっとも輝かしい光のひとりであり、知的同調からの独立を宣言した新世代の左翼作家・思想家である」--キャサリン・リュー(作家・アメリカ文化理論家) 「わたしたちの時代の混沌のただなかで、頼るべき人としてアンジェラ・ネイグルのような聡明で恐れ知らずの批評家がいることは救いになる。彼女は右翼のサブカルチャーの出現とその重要性を適切に説明することができないリベラルの陳腐な教義で我慢することを好まず、インターネットの洞窟のもっとも汚れた場所まで降りて、鋭く冷静な分析をわたしたちに与えようとする唯一の存在だ」--アンバー・アリー・フロスト「チャポ・トラップ・ハウス」 「アンジェラ・ネイグルは、有害なレイシズムとミソジニーが先端的なカウンターカルチャーのパッケージとして現れたとき、それに対してダブルスタンダードを用いることを一貫して拒否した、数少ない書き手のひとりである。本書は、ウェブ上のニヒリズムとファシズムがもつ新しい一面に関する見事な解説であり、この新しいニヒリズムとファシズムは、もはや「(笑)」をつけておけばよいのだと言って逃げることはできない」--デイビッド・ゴロンビア(『ビットコインのポリティクス:過激な右翼としてのソフトウェア』著者) 序章 希望からゴリラのハランベに 第1章 リーダーなきデジタル反革命 第2章 侵犯のオンライン政治 第3章 オルタナ右翼のグラムシ主義者たち 第4章 ブキャナンからヤノプルスまでの保守派文化戦争 第5章 Tumblrから大学キャンパスでの戦争へ:ウェブ上の正しさのエコノミーに不足分を創り出すこと 第6章 マノスフィア(男性空間)に入会すること 第7章 つまらないビッチ、ノーマルな連中、そして絶滅寸前メディア 結論 あの冗談はもう面白くないーー文化戦争はオフラインへ
●変わり続けることが今の時代で最も重要な能力だというテーマの自己啓発書です。 ●就職、退職、結婚、離婚、出産、病気、出会い、別れなど、統計によれば、人は成人してから平均36回は人生の転機を経験すると言います。このような人生の転機には、心理的なアップダウンがつきものなので、多くの人が自分を見失い、「どう生きればいいのかわからない」「やりたいことが見つからない」といった大きな悩みを抱えます。 ●心理学から脳科学、古典や東洋思想までを盛り込み、転機をしなやかに乗り越えるための、「柔軟でぶれない生き方(Rugged Flexibility)」を提案します。核となる価値観だけを維持しながら、環境の変化に柔軟に適応し続ける生き方です。「自分らしさ」とは、自分の内側に根を張っているものではなく、環境の変化に合わせて、常に変わり続けるものだということを教えてくれます。 ●世の中の変化に抵抗するのではなく、あるがままを受け入れ、その上で自分の個性を大事にしながら、少しずつ前進していこうというメッセージが込められた本です。 Introduction:ぶれない柔軟性ーー激動の時代にアイデンティティを維持しながら変わり続ける最良の生存戦略 Part1:柔軟でぶれないマインドセット 第1章:人生の流れに心を開く 第2章:人生の困難を想定する Part2:柔軟でぶれないアイデンティティ 第3章:流動的な自己意識を育む 第4章:柔軟でぶれない境界線を築く Part3:柔軟でぶれないアクション 第5章:反応ではなく、主体的に対応する 第6章:意味を見出し、前進する おわりに:変化を受け入れ、ぶれない柔軟性を育てるための「5つの問い」と「10の方策」 謝辞 付録コアバリューのリスト 参考文献
「最初の一人」が、みんなを変える。 信じた道をまっすぐ進もう! 女性初、黒人初、アジア系初のアメリカ副大統領となったカマラ・ハリス。 カマラの母親はインド出身、父親はジャマイカ出身です。 そのようなルーツと見た目を持つ人が、2番めにえらい政治家になるのは、 アメリカの歴史のなかでも初めてでした。 そして2024年、彼女はついに大統領候補になります。 一体、どんな思いが彼女をつき動かしていたのでしょうか? 「最初の一人」として道を切りひらいてきた、カマラの物語です。 ★小学校3年生から読めるルビつき 「闘いは、ときに時間がかかります。 でも、それは勝てないという意味ではありません。 大切なのは、絶対にあきらめないことです。 この世界をもっといい場所にするための努力を、 どうかやめないで。あなたたちには力があります。 まだ実現されていないからという理由だけで、 そんなの無理だと言ってくる人の声には耳を貸さないで」 ──本文より
地政学リスク、パンデミック、エネルギー危機、物流問題、気候変動…… 「予測困難」を克服するサプライチェーンを確立する! 利益創出の鍵はレジリエンス 外部からのシグナルをセンス(検知)する。そして、そのシグナルをもとに今度は社内でピボット(適応)させる。変化により適合するようにその場その場で計画と戦略を適応させるのである。それと同時に、デジタル化や自動化の能力を高めることで適応スピードと効率の向上が図れる。混乱に負けずに利益を創出する「最強のサプライチェーン」を作り上げることはここから始まる。 原著序文 混乱に負けず利益を創出する「最強のサプライチェーン」 第1部 オペレーション戦略を変革する「5つの方程式」 第1章 変化の激しい世界に求められるレジリエント・オペレーション 第2章 方程式1 供給基盤の強化:供給危機に対するレジリエンスを獲得せよ 第3章 方程式2 顧客価値起点のオペレーション:需要危機に対するレジリエンスを獲得せよ 第4章 方程式3 新しい働き方と多様性の活用:レジリエントな組織を構築せよ 第5章 方程式4 人間の判断力と人工知能の組み合わせ:レジリエントな経営脳を強化せよ 第6章 方程式5 サステナビリティによる武装:あくまで長期的なレジリエンスを確保せよ 第7章 戦略に対する「5つの方程式」の適用 第2部 戦略から実行へ:「5つの方程式」の実践 第8章 サプライヤーとの協働で供給危機に対するレジリエンスを構築せよ 第9章 顧客のためのオペレーション体系をつくり上げ需要危機に備えよ 第10章 「スキルの経済」を高め、レジリエントなチームを育てよ 第11章 テクノロジーの可能性を解き放つ、学習と共有、そして協働 第12章 サステナビリティを受け入れて長期的なレジリエンスを確保する 第3部 展望:将来のシナリオに適応するためのレジリエンスの活用 第13章 不都合で不確実な将来シナリオ 第14章 「5つの方程式」に関する事例研究 第15章 数々の変革事例が示した共通の「勝ち筋」 第16章 オペレーション変革の前に向き合うべき「問い」
会話するとき、家族と過ごすとき等あらゆる場面で、私たちは日常生活の秩序を無自覚に作り出し維持している。エスノメソドロジーは、私たちがこうした日常の諸活動をどのように行なっているか、その方法を分析し明らかにする試みである。本書ではなかでも会話分析と関わりの深い論考を集成。創始者H・ガーフィンケルによるエスノメソドロジー研究の基礎を知る重要論文「日常活動の基盤」や、自殺志願者と相談センターの職員との会話を分析した、H・サックスによる記念碑的論考「会話データの利用法」等を収録した。本書に収録された各論考はいまなお、この分野の基本文献であり続けている。 序論 エスノメソドロジーー社会科学における新たな展開 (ジョージ・サーサス) 日常活動の基盤ー当り前を見る (ハロルド・ガーフィンケル) 会話データの利用法ー会話分析事始め (ハーヴィー・サックス) 会話はどのように終了されるのか (エマニュエル・シェグロフ、ハーヴィー・サックス) 訳者解説 あとがき ちくま学芸文庫版訳者あとがき 事項索引
■2019年にサンガより刊行し、「6刷・28,000部」を記録したベストセラーをリニューアル刊行! 英語版200万部以上16ヶ国語翻訳!! ■トップエリートの90%はEQが高く、人生の目的を達成するにはIQよりもEQのほうが2倍も重要! 「EQ」とは、あらゆる重要なスキルの土台になる「感情的知性」のこと。 「Emotional Intelligence(EI)」「心の知能指数」とも呼ばれ、自分と他者の心の動きに気づき、 理解し、自分の行動や人間関係を上手にマネジメントする力です。 本書では、自分のEQをオンラインテストで測定し、自分だけの「EQ向上戦略」を知ることができます。 ★世界で最も使われている「EQオンラインテスト」のパスコード付き[巻末袋とじ]
バリュー投資に基づく新たなリスク計測、ポートフォリオ構築のアプローチを提唱する、すべての投資家にとって必読の書! ◆価格の上昇を期待して買うこと(投資1.0)は、大馬鹿者理論(自分が買った値段より、さらに高い値段で買う大馬鹿者が存在する)を前提とする。これに対し、バリュー投資家は、株式は企業の割合的な持分であって、そこには市場価格とは別の本源的な価値が存在すると信じる(投資2.0)。 ◆その後に登場した平均分散モデル(投資3.0)、効率的市場仮説(投資4.0)、CAPM・マルチファクターモデル(投資5.0)は、数学的に洗練された手法を用いてリスク/リターンとその要因を分析するが、いずれも市場価格を基準としている点でバリュー投資とは相容れない。また、統計学やAI等の技術も誤用されていることが多い。 ◆では、バリュー投資の思想に基づいて真のリスクを計測し、分散効果を勘案してポートフォリオを構築するにはどうすればいいのか。それが本書で解明される「現代バリュー投資」である(投資6.0)。現代バリュー投資の真髄を資産運用の専門家による達意の日本語訳で日本の読者に伝える。 【主要目次】 序 章 第1章 投資1.0--盲信と投機 第2章 投資2.0--バリュー投資の誕生 第3章 投資3.0--リスクの(誤った)測定 第4章 投資4.0--効率的市場とバリュー不可知論的インデックス投資 第5章 投資5.0--ファクターモデル、アルゴ、アルファの追求 第6章 投資6.0--現代バリュー投資 第7章 ケーススタディーー株式 第8章 ケーススタディーー住宅 第9章 投資の落とし穴9選 序 章 第1章 投資1.0--盲信と投機 第2章 投資2.0--バリュー投資の誕生 第3章 投資3.0--リスクの(誤った)測定 第4章 投資4.0--効率的市場とバリュー不可知論的インデックス投資 第5章 投資5.0--ファクターモデル、アルゴ、アルファの追求 第6章 投資6.0--現代バリュー投資 第7章 ケーススタディーー株式 第8章 ケーススタディーー住宅 第9章 投資の落とし穴9選
19世紀末の大自転車ブームを支えた植民地下コンゴのゴム農園、第二次ボーア戦争でイギリス軍を苦しめたボーア軍の自転車部隊、タイタニック号とともに海に沈んだ2台のエクササイズ用バイク、社会主義者グループが組織した最初期のサイクリング・クラブ、26インチホイールをそのまま現代アートにしたデュシャン、権力を掌握したヒトラーが最初にした「ドイツ自転車連盟」の解体、自転車で国土を走り回るブータン国王、2027年、自転車市場は800億ドルに達するだろう。世界の自動車は10億台、自転車はその2倍。
デジタルアイデンティティのすべてを知るための決定版! デジタルアイデンティティ(ID)とは何か、どのように機能しているのか、優れたIDシステムとは何か、その基盤を提供するテクノロジーから未来の方向性までを体系的に解説。デジタルIDのライフサイクル、トラストの概念、暗号化、認証やアクセスコントロール、NISTの分類、分散型アイデンティティ、認証連携、デジタルIDウォレット、自己主権型アイデンティティなどについても書かれており、デジタルIDに関する内容が網羅されています。
俺は自分の生きたいように生きているだけだ ーーブロンコ・ビリー/クリント・イーストウッド 『ローハイド』から『クライ・マッチョ』まで、 時に俳優として、時に監督として、あるいはその双方を担い、 半世紀を超えて〈アメリカ〉という荒野を歩み続けた巨匠を知る。 アカデミー賞を2度受賞し40本もの映画を監督してきた、映画界で最も尊敬される存在のひとり、クリント・イーストウッド。2024年に94歳の誕生日を迎えるも、ハリウッドの常識など意に介さず、三四半世紀に近しい時間を、ほとんど休むことなくこの業界で働きつづけている。 本書では監督としての〈イーストウッド〉のみならず、初期の代表作『ローハイド』、セルジオ・レオーネ「ドル箱三部作」(『荒野の用心棒』、『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』)、師と仰ぐドン・シーゲルとタッグを組んだ『ダーティハリー』『アルカトラズからの脱出』以来の、自身の監督作でも継続している俳優〈クリント〉のあり方についてもジグザグに見つめていく。 初監督長編『恐怖のメロディ』、アカデミー賞(作品・監督)を受賞した『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』、硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』、最新作『Juror #2』(原題)に至るまでの全キャリアーーすなわち俳優や監督として、〈アメリカ〉の象徴になるまでの人生の軌跡を、豊富なスチール写真やオフショットとともにふりかえる。
経済学が何倍も面白くなる! 農業革命から人工知能まで、世界は経済の力に動かされてきた。 多様な経済学の魅力を伝える、すべてのビジネスパーソン必読の書! 世界14カ国で刊行! 2023年ノーベル経済学賞受賞者絶賛! 古代のエジプトやローマでは、生産性を高める発明がなぜ生まれなかったのか? 日本のエリート層に武士の姓を持つ人が多いのはなぜだろうか? ハイエクとケインズの、不況に対する考え方の違いとは? 戦後の数十年間に、格差が縮小した理由とは? 収入の多さは幸福度を左右するのだろうか? 経済発展や経済学の歴史とその確立に貢献した人物を振り返りながら、 これらの問いへの答えを見つける壮大な旅に出よう。 「経済学に関する本を1冊だけ読むなら、明解で洞察に満ちた、注目すべき(そして短い)この本だ」 ーークラウディア・ゴールディン、(2023年ノーベル経済学賞受賞者) 「今日の経済について理解したい人にとって、必読の書である」 ーーベッツィー・スティーブンソン(ミシガン大学経済学部教授) 「経済学に興味はあるけれどもよくわからないという人は、本書から十分に学ぶことができるだろう」 ーーキャロライン・ホックスビー(スタンフォード大学経済学部教授) 序章 第1章 出アフリカと農業の始まり 第2章 大運河、印刷機、疫病 第3章 帆船の時代 第4章 産業革命と国民の富 第5章 貿易、移動、技術の急発展 第6章 経済モデルと工場の近代化 第7章 第一次世界大戦と大恐慌 第8章 第二次世界大戦とブレトンウッズ 第9章 黄金の30年? 第10章 市場がすべて? 第11章 インフレ目標と格差 第12章 熱い市場と熱くなる地球 第13章 パンデミックとその後 第14章 経済と経済学の過去、現在、未来 謝辞 原注 図版出典 索引
動物の権利運動の理論的基盤 不滅の名著、30余年ぶりの全面改訂版を完全新訳。最新のデータと議論にもとづき本文の3分の2を書き換え、さらに気候変動や新型ウイルスなど新たなトピックを盛り込んで、21世紀の緊急課題に応える。 序論=ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』)。 各界識者絶賛 「すべての存在に公正な社会を目指す新世代の意欲をかきたてるだろう」──ホアキン・フェニックス 「70年代に本書を読んで以来、私は肉を食べるのをやめた。もしこの改訂版を読んでいたら、もっと早くビーガンになっていただろう」──ジェーン・グドール 「動物解放運動の原点ともいえる必読書が新たに生まれ変わった」──J・M・クッツェー 「シンガーの徹底した利他主義が我々を不快にするなら、それだけで本書を読む理由がある」──リチャード・ドーキンス 序論 ユヴァル・ノア・ハラリ 二〇二三年版緒言 第一章 全ての動物は平等である あるいは、人間の平等を基礎づける倫理原則が平等な配慮を動物たちにも広げるべきだと求める理由 第二章 研究のための道具 違う、これは人命を救うこととは何の関係もない 第三章 工場式畜産に抗して あるいは、あなたの晩餐が動物だった時に起きたこと 第四章 種差別なき生活 気候変動と闘い、健康な生活を楽しみながら 第五章 人(マン)の支配 種差別小史 第六章 今日の種差別 動物解放への反論と、その克服による前進 謝辞 レシピ集 訳者解題 原注 索引
その生い立ちから3度目の遠征に向かう航海の途上で急逝するまでの行動と社会的背景、家族、恋愛と結婚、夫婦関係、成功と失敗、人間的弱点と強さ、活躍と挫折など、極地探検家シャクルトンの知られざる人間像を描き出す。 アーネスト・シャクルトンは南極遠征を3度挑戦し記録を作ったが、遠征目的は達成できず、失敗した。 1回目はスコット隊長の「ディスカバリー号」遠征に隊員として参加。スコットに従い極点制覇を目指すが、失敗。シャクルトンは壊血病で衰弱しスコットに「役に立たない隊員」として帰還させられる。 2回目はシャクルトン自身が隊長の「ニムロド号」遠征。ディスカバリー号遠征から帰還して様々な職業に就くが、いずれもうまくいかない。他方で南極への憧れは抑えきれず、多方面に迷惑をかけながら大きな負債を抱え、再度南極へ出発する。しかしこの遠征も、極点までもう少しのところで食糧不足と体力の限界で達成できなかった。 3回目は「エンデュアランス号」による「帝国南極探検隊」。夢を捨てきれず南極大陸横断を目指したが、南極へ向かう海路で心臓発作のため急逝した。 シャクルトンは探検家としての輝かしい業績は残せなかったが、現代の偉大な探検家である著者は、自らの体験を通じて、困難をどう切り抜け、挫折を乗り越えるかという観点からシャクルトンの業績に注目し、また深く共鳴し、著者ならではの着眼でその実像に迫る。 序 文 第一部 第二部 第三部 第四部 第五部 謝 辞 訳者あとがき 画像のクレジット 参考文献 索引
仕事仲間として、家庭教師として、創造性として、コーチとして、そして人として、AIは今後どのように我々の仕事や生活を変えるのか? 本書では、長らく「人工知能」と呼ばれていたAIは、もはや人類の「共同知能(Co-Intelligence)」であるとする著者が、「仕事仲間」「創造性」「コーチ」など役割ごとにAIを捉え直し、まったく新しい関わり方を具体的に提案する。AIが書いた末恐ろしくも圧巻のパートにも注目! 【本書の内容】 ・AIは「勤勉な見習いシェフ」 ・怖い? 賢い? 怖いくらい賢い? ・AIによる人類滅亡のリスク ・暴走防止のための「ガードレール」の設置と、ガードレールを突破する方法 ・AIの巧みな嘘 ・AIと協力するためのルール設定 原則1 常にAIを参加させる 原則2 人間参加型(ヒューマン・イン・ザ・ループ)にする 原則3 AIを人間のように扱う(ただし、どんな人間かを伝えておく) 原則4 「今使っているAIは、今後使用するどのAIよりも劣悪だ」と仮定する ・「ソフトウェアのように」ではなく「人間のように」行動する ・AIが見せる「意識のひらめき」 ・創造性の自動化 ・量を出すのが得意なAIと、駄作を排除するのが得意な人間 ・企業やリーダーはAIとどう向き合うべきか ・AIは既存の教え方を破壊する ・宿題の終焉後の世界 ・AIの未来についての4つのシナリオ 他 原題:Co-Intelligence: Living and Working with AI 著者:Ethan Mollick プロローグ 3日間の眠れぬ夜 第1章「異星人の心」を創造する 第2章 異星人を人間に適合させる 第3章 「共同知能」についての4つのルール 第4章 「人」としてのAI 第5章 「創造性」としてのAI 第6章 「仕事仲間」としてのAI 第7章 「家庭教師」としてのAI 第8章 「コーチ」としてのAI 第9章 「未来」としてのAI エピローグ 「私たち」としてのAI
深刻化する環境問題と私たちの運命 ある日、ドラマの撮影に使われた1頭のイルカが自殺した。 この事実に衝撃を受けた環境問題ジャーナリストは、世界中で取材を重ね、動物の命が無意味に消されていく現実に直面する。 いたずらにクジラを殺す伝統儀式、漁獲の40%を廃棄する漁業、環境活動家の暗殺、世界中で毎秒250kg海に流れ込むプラスチックごみ…… この状況を変えるために、今、私たち一人ひとりがすべきことは何か? ヨーロッパに衝撃と希望をもたらした環境問題バンドデシネ、待望の邦訳! Chap.1 新たな世界大戦 Chap.2 血の海 Chap.3 集約化という名のホラー Chap.4 消音銃 Chap.5 ブウィンディ原生国立公園のゴリラ Chap.6 動物の知性 Chap.7 雑食動物は、肉食動物と同義ではない Chap.8 蝶が教えてくれたこと Chap.9 世界のゴミ Chap.10 北極 Chap.11 地球が疲弊している Chap.12 希望を持ち続けるために
ニューヨークタイムズ ベストセラー第1位! 世界25カ国で発売! 「素晴らしい作品を作るためには何をすべきかを書くつもりでしたが、結果的にそれは“どう在るべきか”についての本となりました。」----リック・ルービン 世界最高の音楽プロデューサーとして名高いリック・ルービンは、アーティストが自分自身に抱く期待以上の能力を引き出し、素晴らしい才能を発揮するように導くことで、数多くの偉大な作品を生み出してきました。ルービンは「創造性の源」について長い年月をかけて思考するうちに、そもそも「創造性(クリエイティビティ)」とは、アーティストやクリエイターのためだけにあるものではなく、この世界全体と関係があると学びました。ビジネスにも、休養を取るときにも、また、日常生活や子育てなど、「創造性」は人生のどんなステージにも存在し、その才能を発揮する場所を拡げることができるのです。 本書は、誰もが歩める、創造性を高めるための道、ルービンの知恵と洞察の道を辿る学びのコースです。長年の経験から得た知恵を78項目に凝縮し、クリエイティビティを誰もが感じられる瞬間や、人生そのものを近くに引き寄せ、成功へと導いてくれる、感動的な読書体験を提供します。 【世界主要紙、各業界から絶賛の嵐!】 クリエイティブなプロセスについての、すばらしく、味わい深く、野心的にして実践的な考察の書。創造に生きる人や創造的に生きようとする人に豊かな洞察、的確なアドバイス、実用的な提案、そして究極の安らぎを与えてくれるーーーJ・J・ エイブラムス(映画プロデューサー) リック・ルービンは創造という神聖にして日常的な行為を見事に言語化しています。私たちが知ってはいるけれど理解していないかもしれないものに、声や形を与えてくれたのはすごいことです。どんな分野のデザイナーもリックの言葉に励まされ、刺激を受けるでしょうーーージョニー・アイブ(元Appleデザイン責任者) 悲観したくなる世界で、宇宙はそれでも私たちに微笑んでいることを示唆する超越的な文学作品ーーーウォール・ストリート・ジャーナル ちょうどこの本を読んでるところだけど、これは本当にすごい。うちの子どもたちにも読ませたい。みんなにも読んでもらいたい。この本はクリエイティビティと創造的思考のマニュアルだ。未来永劫ずっと役に立つと思うーーーマイケル・“マイク・D”・ダイアモンド(ビースティ・ボーイズ) 究極の「卒業祝いに贈りたい一冊」。いま25歳の人にぼくが贈りたい一冊ーーースティーヴン・D.レヴィット(『ヤバい経済学』共著者) あなたはこの特別な本を4回は読むだろう。最初は夢中で読みふけり、2回目はじっくり味わい、3回目は余白にメモを書き込む。そして4回目には、この本はすでにあなたの一部になっていて、自分の作品を世に送り出す準備ができていているだろう。---セス・ゴーディン(元Yahoo!副社長、起業家、ビジネス著述家)
★"助言だけ"でただのフリーターを億万長者に変えた「世界初の社会実験」★ 伝説の連続起業家に出会って、たった1年で「コネなし金ない経験なし」人生逆転した嘘みたいな本当の話 グーグル、マイクロソフト、P&G、コカ・コーラ、ディズニー、マクドナルドなど、数多くの有名企業に変革をもたらした全米トップイノベーションコンサルタントの「すごすぎる成功法則」 ◎あなたの「隠れた才能」を爆発させる12の真実 1「成長のマインドセット」があなたの人生を変える 2短所は長所に変わる 3恐怖を感じるのは望ましいこと 4失敗は最高 5成功のカギはいつも自分の中にある 6情熱があれば止まらない 7ひとりでは何もできない 8テクノロジーはチャンスの金脈 9空白は埋めなくてはならない 10世界の流れは「モバイル」から「バーチャル」に変わる 11裕福になるには賢く働く必要がある 12成功に場所は関係ない 第1章 成長のマインドセット 第1.5章 フューチャー・プルーフになれる人材 第2章 問題は成功の種 第3章 恐怖を味方につける 第4章 失敗を受け入れる 第5章 「強み」と「弱み」の両方があなたを成功に導く 第6章 忍耐と持続性 第7章 自分を導いてくれる人を見つける 第8章 企業はすべてハイテク企業でなくてはならない 第9章 空白を埋める 第10章 1兆ドルのビジネスチャンス 第11章 懸命に働いても裕福になれるわけではない 第12章 場所に縛られることは成功の足かせになる 第13章 合併と買収 第14章 持続可能な資本主義 第15章 受けた恩を還元する
YouTubeチャンネル登録者数650万人超! 世界で大注目の自己啓発系YouTuberが紹介する生産性爆上げメソッド! 「良い気分」が成功を生み出すーー 生産性に関する動画では最も数多く視聴されているYouTuberが、自身の発見と実践から導き出した仕事術を大公開。 生産性を高める秘訣は、規律ではない、喜びだ! フィールグッド・プロダクティビティの発見と実践 本書では、著者が医師として働く中で遭遇した苦境を乗り越えるために編み出した「フィールグッド・プロダクティビティ」という生産性のアプローチについて紹介。このアプローチは、ただがむしゃらに努力するのではなく、ポジティブな感情を活かして仕事の効率を高めることに焦点を当てています。 「冒険心を持って仕事にアプローチする」 「好みのキャラクターになりきる」 「感情に「ラベル」を貼る」 「先延ばししてしまった自分を許す」etc 著者は54の実験を通して、ストレス軽減や燃え尽き症候群の克服に役立つことを発見し、生産性を上げ、人生全般に応用できることを実証しています。 読者のための実用的なガイド 本書は3部構成で、各章において実践的なアプローチやヒントを掲載。 第1部:ポジティブな感情を引き出す3つのエネルギー源(遊び心、コントロール感、良い人間関係)を活かしたエネルギーの高め方 第2部:先延ばしを克服するための方法と、気分を妨げる「ブロッカー」を取り除くアプローチ 第3部:長期的な視点でのフィールグッド・プロダクティビティの影響と、燃え尽き症候群を克服するための「持続力」の紹介 読者が自分自身の生産性を向上させ、より充実した人生を送るための「考え方」を提供しています。 ぜひ、本書を読んで、良い気分で成功しましょう!
最重要哲学書『理由と人格』『重要なことについて』著者にして、桁外れの奇人と評されるパーフィット。その哲学と生涯を精緻に描く! たった二つの著作で「最も偉大な道徳哲学者の一人」と評価されたパーフィットは、哲学界で愛された「フィロソファーズ・フィロソファー」だった。だが元来は外向的で超優秀な歴史学専攻の学生。そんな彼がなぜ道徳の最難問にとりつかれ、隠遁的な哲学者となったのか? その足跡を出生から丹念にたどり、多角的に迫る決定版伝記。 【原著】David Edmonds, Parfit: A Philosopher and His Mission to Save Morality (Princeton University Press, 2023) はじめに 重要なこと 1 メイド・イン・チャイナ Made in China 2 人生の予行演習 Prepping for Life 3 イートンの巨人 Eton Titan 4 ヒストリー・ボーイ History Boy 5 オックスフォード文芸録 Oxford Words 6 アメリカン・ドリーム An American Dream 7 ソウル・マン Soul Man 8 遠隔転送機 The Teletransporter 9 大西洋を越えて A Transatlantic Affair 10 パーフィット・スキャンダル The Parfit Scandal 11 仕事、仕事、仕事、そしてジャネット Work, Work, Work, and Janet 12 道徳数学 Moral Mathematics 注
資本主義によって世界経済は驚異的に成長し、豊かになった。しかし、同時に資本主義システムは、格差や不平等、気候変動、環境悪化、社会的排除など様々な弊害を生み出し、近年それらは悪化の一途をたどり、大きな批判を受けている。資本主義が抱えているこれらの深刻な問題をどのように解決すればいいのか。どうすれば資本主義を望ましい形に修正できるのか。オックスフォード大学教授で世界的経済学者のコリン・メイヤーは、本書でその答えを出した。 メイヤー教授は、ビジネスの目的(パーパス)とは何か、利益とは何かを問う。 利益は進歩を促し、進歩は繁栄を生み出すが、一方で深刻な問題を引き起こす。なぜなら、利益は、他者や社会の問題や課題を解決することよってもたらされるが、他者や環境、社会などを犠牲にしても得ることができるからだ。 ビジネスの目的(パーパス)は、人々と地球の問題に対する有益な解決策を生み出すことであるべきで、問題を生み出すことではない。つまり、企業は、問題を生み出して利益を得るべきではない。企業はお金を追い求めるのではなく、問題の解決策を追い求めるべきであり、それを実現するためには、資本主義システムの様々な部分に、「道徳律(他者がしてほしいと望むことを、他者にする)」を根づかせていく必要がある、とメイヤー教授は主張する。この主張は単なる理想論ではない。企業経営、コーポレートガバナンス、法律、会計、金融などにどうやって「道徳律」を組み込んでいけるのか。具体例を交えて、本書でそのフレームワークを明確に提示する。 ◎『資本主義再興』の主な内容 パート1 問題 THE PROBLEM 第1章 システム 第2章 課題 パート2 義務 THE DUTY 第3章 道徳律 第4章 法の役割 パート3 方法 THE METHOD 第5章 問題を所有する 第6章 優れた解決策 パート4 真の価値 THE PRIZE 第7章 自然の価値評価 第8章 正しい利益 パート5 コミットメント THE COMMITMENT 第9章 リスクキャピタルの供給 第10章 人類共通のパーパス 解説 宮島英昭(早稲田大学商学学術院教授)
「俺、このまま滑落死するのか?」 こんなはずじゃなかった。強風吹きすさぶなか、断崖にしがみつくように下りながらも、数秒前までは自信たっぷりの足取りだった。 ところが足が滑った瞬間、手でつかめるものが何もなく、アイゼン(金属製のスパイク)の爪もうまく刺さらず、落ち始めた。(本書より) エベレスト8,000メートル峰14座踏破の世界記録更新、シェルパたちの地位向上、祖国と自然への尊敬。 野望を抱き英国舟艇部隊から登山家に転身し、できることはなんでもやる。超人にして快男児、プルジャが前人未踏の世界記録を打ち立てるまでのリアルな記録。 幼少期を過ごしたネパールの村、グルカ兵としてのミッション、絶景の山など貴重なカラー写真も掲載。 〈目次〉 1 死か、栄光か 2 希望がすべて 3 臆病者になるくらいなら死んだほうがまし 4 飽くなき追求 5 デス・ゾーンへ 6 泳いで月を目指す 7 すばらしいミッション 8 いちかばちか 9 尊敬は勝ち取るもの 10 極限状況でも正常に機能する 11 大救出 12 暗闇へ 13 混乱のとき 14 サミット・フィーバー 15 山における政治 16 あきらめることを知らない 17 嵐のさなかで 18 荒々しい山 19 山の意向 20 みんなのプロジェクト 21 偉業達成 エピローグ ついに頂点へ ニルマル・プルジャ 2019年、8,000メートル級14座を7か月で踏破すると宣言、みごと成し遂げた登山家。 1983年ネパールの貧しい家庭に生まれる。長兄、次兄を追いかけて切磋琢磨し、グルカ兵となる。 英国へ移り、英国舟艇部隊に所属。2018年、大英帝国勲章をエリザベス2世から授与される。 「願えばかなう」をスローガンに、祖国ネパールのシェルパたちの地位向上を掲げ、また環境問題への関心も高く、多方面で影響力ある発信を行う。その型破りなスタイルは世界中にインパクトを示し続けている。
なぜ私たちは、一人ひとり異なる今のような自分になったのか。子どもから大人へと成長する過程でどのような力が働き、その後の人生が形づくられるのかーー数千人規模で出生から中年期までを追跡調査し、それらの問いへの実証的な答えを探し求めた、世界的に著名な4人の心理学者による「人間の発達をめぐる冒険」の書。 目次より 日本語版への序文 序文 第1部 はじめに 第1章 時を超えた生命 第2部 子どもは大人の父である 第2章 世界への反逆,世界からの逃避 第3章 自制的であるか否か 第4章 児童期と成人期のADHD 第3部 家族 第5章 なぜ親は自分のやり方で子育てするのか? 第6章 問題を抱えた家庭と不良少年 第7章 早くに成熟してしまう少女,問題のある家庭環境,そして不良少年 第4部 家族を超えて 第8章 保育所に関する良いニュースと悪いニュース 第9章 近隣はどうですか? 第10章 いじめ 第11章 大麻ーー早期の使用,持続的な使用 第5部 遺伝 第12章 喫煙は遺伝子によって決定されるか? 第13章 人生の成功は遺伝子によって決定されるか? 第14章 子どもの不適切養育,遺伝子型,男性の暴力的行動 第15章 ライフストレス,遺伝子型と若年者の抑うつ 第16章 エピジェネティクス,あるいは従属変数としての遺伝子 第6部 歳をとるということ 第17章 小児期逆境体験と成人期の身体的健康 第18章 小児期逆境体験の生物学的影響 第19章 歳をとるのが速い人,遅い人 第7部 結語 第20章 眠りにつく前に進むべき道のりがある 日本語版への序文 序文 第1部 はじめに 第1章 時を超えた生命 第2部 子どもは大人の父である 第2章 世界への反逆,世界からの逃避 第3章 自制的であるか否か 第4章 児童期と成人期のADHD 第3部 家族 第5章 なぜ親は自分のやり方で子育てするのか? 第6章 問題を抱えた家庭と不良少年 第7章 早くに成熟してしまう少女,問題のある家庭環境,そして不良少年 第4部 家族を超えて 第8章 保育所に関する良いニュースと悪いニュース 第9章 近隣はどうですか? 第10章 いじめ 第11章 大麻ーー早期の使用,持続的な使用 第5部 遺伝 第12章 喫煙は遺伝子によって決定されるか? 第13章 人生の成功は遺伝子によって決定されるか? 第14章 子どもの不適切養育,遺伝子型,男性の暴力的行動 第15章 ライフストレス,遺伝子型と若年者の抑うつ 第16章 エピジェネティクス,あるいは従属変数としての遺伝子 第6部 歳をとるということ 第17章 小児期逆境体験と成人期の身体的健康 第18章 小児期逆境体験の生物学的影響 第19章 歳をとるのが速い人,遅い人 第7部 結語 第20章 眠りにつく前に進むべき道のりがある
一つひとつの傷、 過去の修理人が見えないところに残した跡…… 希少な女性職人の手と目を通して、 人類と時間の歴史が見えてくる! 【内容】 時計ーー時間を計る小さな機械の発明は、人間の文化にとって、印刷機と同じぐらい重要な意味を有していた。最初期の装置(骨でつくったもの、影を調べるもの、水や火や砂を流すものなど)を経て、のちの発明家たちが自然の動力と工学とを結びつけたことから新たな機械装置である大時計が生まれた。そしてさらなる技術の進歩の末に、時計はついに携帯可能なものとなり、世界を征服できるほどの正確さを獲得していく(人間とともに、エヴェレストの頂上やマリアナ海溝の深淵、北極や南極はおろか月にまでたどり着く)。 本書では、イギリス史上初めて「時計学」の博士号を取得した時計師となった著者が、その歴史をひもときながら、知られざる時計製造の世界へと読者を導いていく。登場する時計の多くは、著者が実際に扱ったもの、修理したものであり、そこからは小さな個人の歴史も立ち上がってくるだろう。 “自分が生まれる前につくられた時計、メンテナンスをすれば自分が死んだあとも数世紀にわたり生き続けるであろう時計、それらが紡ぐ物語の新たな一章に自分がなることを意識しながら、私はそこにある命の証を拾い集める。時計職人とはつまり、これらの製品を守り、その歴史を吸収し、新たな人間とのつながりを生み出す準備をする管理人なのである。” ーー「後ろ向きの前書き」より 宗教、交易、探検、帝国、労働、階級、ジェンダー、戦争、死生観、技術革新……携帯可能な機械が、この世界を動かしてきた。飛ぶような速さで過ぎていき、ナノ秒単位で測られるようになった現代的時間の中で、自分のペースで時間と向き合う読書体験をあなたに。 【図版について】 ◎口絵には、貴重で美麗なフルカラー写真14点を掲載! 16世紀の置き時計、17世紀半ばに人気を博した「形態時計」、18世紀に流通し時計産業のあり方を一変させた「オランダ偽造品」、ブレゲが発明した初期の自動巻き時計(ペルペチュエル)など。 ◎本文には、手仕事を感じさせる挿絵40点近くを掲載! カバー含め、イラストはすべて工房「ストラザーズ・ウォッチメーカーズ」共同設立者にして、著者と同じ時計職人である夫のクレイグ・ストラザーズが手がけたもの。 後ろ向きの前書きーージェフ 1971年3月10日 1 太陽を追う 2 精巧な装置 3 光陰矢のごとし 4 黄金時代 5 時間を偽造する 6 革命の時間 7 時計に合わせて働く 8 冒険に連れ添う時計 9 加速する時間 10 人間と機械 11 瀬戸際 時計の修理の仕方ーー大まかな(かつ個人的な)手引き 用語集 謝辞 原注 参考文献 その他の情報源 写真クレジット
編み物は、フェミニズムや社会運動を支えるツールでもあった。フランス革命時のトリコテウス、アメリカ革命時のスピニング・ビーズ、大戦時のニッティング・スパイ、トランプ政権時のプッシーハット・プロジェクト……。個人と政治、愛と経済を結びつけ、社会を幾度となく編み直してきたパワーの歴史をたどるエッセイ。 著者の言葉 イントロダクション 愛、政治と経済を編む 1 なぜ編み物をするのか 2 糸の檻を開ける 3 革命のために編む 4 フェミニズムと糸の愛憎関係 5 ウール・イズ・クール 6 編み物のネットワークの魔法 7 神経科学時代の編み物 8 ともに編もう──社会を編み直す エピローグ 必要なのは愛だけ 謝 辞 訳者あとがき 佐久間裕美子 パターン 西村知子 訳 注 参考文献
ソーシャル・キャピタルの概念は、1980年代の登場以降、社会学をはじめとする社会科学に大きな影響を与えてきた。本書は、世界的に活躍する研究者が集い、理論と実践の両面においてその研究成果を問うた古典的論集である。ネットワークとの関連に着目しつつソーシャル・キャピタル概念の理論的基盤を確認したうえで、労働市場やコミュニティなどを対象とした領域で実証研究を展開し、この概念が持つ豊かな可能性を明らかにしている。 原著:Nan Lin, Karen Cook and Ronald S. Burt (eds.), 2001, Social Capital: Theory and Research, Aldine De Gruyter. 序 文 第1部 ソーシャル・キャピタルーネットワークと埋め込まれた資源 第1章 ソーシャル・キャピタルのネットワーク理論を構築する(ナン・リン) 第2章 ソーシャル・キャピタルとしての構造的空隙 対 ネットワーク閉鎖(ロナルド・S・バート) 第3章 地位想起法ーーソーシャル・キャピタル調査のための測定方法(ナン・リン/ヤンーチ・フ/レイーメイ・スン) 第2部 労働市場におけるソーシャル・キャピタル 第4章 そのネットワークはどれくらいの価値があるのか? 従業員の紹介ネットワークにおけるソーシャル・キャピタル(ロベルト・M・フェルナンデス/エミリオ・J・カスティラ) 第5章 対人的紐帯,ソーシャル・キャピタル,そして,雇用主の人員採用方法(ピーター・V・マースデン) 第6章 良いネットワークと良い仕事ーー雇用主と従業員にとってのソーシャル・キャピタルの価値(ボニー・H・エリクソン) 第7章 開始するーー職業キャリアの開始へのソーシャル・キャピタルの影響(ヘンク・フラップ/エド・ボックスマン) 第3部 組織,コミュニティ,そして,制度的環境におけるソーシャル・キャピタル 第8章 社会的メカニズムと集合財としてのソーシャル・キャピタルーー同僚間の地位オークション(エマニュエル・ラゼガ/フィリパ・E・パティソン) 第9章 非常に厳しい環境におけるソーシャル・ネットワークとソーシャル・キャピタル(ジーン・S・ハルバート/ジョン・J・ベッグズ/ヴァレリー・A・ヘインズ) 第10章 複数レベルの世界におけるネットワーク・キャピタルーーパーソナル・コミュニティから支援を得る(バリー・ウェルマン/ケネス・フランク) 第11章 中国都市におけるグアンシ(Guanxi)・キャピタルと社交上の食事ーー理論的モデルと経験的分析(ヤンジェ・ビアン) 第12章 社会的ネットワーク資源の変化と安定性ーー転換期ハンガリーの事例(ロベルト・アンジェラス/ロベルト・タルドス) 訳者あとがき 人名・事項索引
お金がどのように生まれ、歴史的に引き継がれ、現代の経済システムに組み込まれてきたのかーー古代から現代までの5000年以上にわたる貨幣・マネーの壮大な歴史を軽妙な語り口で展開する「お金エンタテインメント」。 【目次】 1 マネーの発明 第1章 マネーの起源 第2章 紙幣を発明したとき、経済革命が起きたが、その後、何もかも忘れることにした 2 人殺し、少年王、そして資本主義の発明 第3章 いかにして金細工職人が偶然、銀行を再発明したか(そして英国を大混乱に陥れたか) 第4章 確率を使って金持ちになる方法 第5章 タイム・トラベルとしての金融ーー株式市場を発明する 第6章 ジョン・ロー、マネーを発行する 第7章 百万長者の発明 3 さらにマネーを 第8章 誰もがもっとマネーを手に入れられる可能性がある 第9章 だが実際のところ:誰もがもっとマネーを手に入れることなんてできるのか? 4 現代のマネー 第10章 金本位制:ある愛の物語 第11章 そいつを中央銀行などと呼ぶな 第12章 マネーは死んだ。マネーよ、永遠なれ 5 21世紀のマネー 第13章 いかにして部屋の中のふたりの男が新しいタイプのマネーを発明したか 第14章 ユーロのおおざっぱな歴史(そして、どうしてドルのほうがうまくいくのか) 第15章 デジタル・キャッシュのラディカルな夢 第16章 SBF おわりに:マネーの未来 1 マネーの発明 第1章 マネーの起源 第2章 紙幣を発明したとき、経済革命が起きたが、その後、何もかも忘れることにした 2 人殺し、少年王、そして資本主義の発明 第3章 いかにして金細工職人が偶然、銀行を再発明したか(そして英国を大混乱に陥れたか) 第4章 確率を使って金持ちになる方法 第5章 タイム・トラベルとしての金融ーー株式市場を発明する 第6章 ジョン・ロー、マネーを発行する 第7章 百万長者の発明 3 さらにマネーを 第8章 誰もがもっとマネーを手に入れられる可能性がある 第9章 だが実際のところ:誰もがもっとマネーを手に入れることなんてできるのか? 4 現代のマネー 第10章 金本位制:ある愛の物語 第11章 そいつを中央銀行などと呼ぶな 第12章 マネーは死んだ。マネーよ、永遠なれ 5 21世紀のマネー 第13章 いかにして部屋の中のふたりの男が新しいタイプのマネーを発明したか 第14章 ユーロのおおざっぱな歴史(そして、どうしてドルのほうがうまくいくのか) 第15章 デジタル・キャッシュのラディカルな夢 第16章 SBF おわりに:マネーの未来
★ベストセラー『帳簿の世界史』著者、最新作!!★ 〈自由〉な〈市場〉とは、人類が抱いた「夢」に過ぎないのか? 「見えざる手」のアダム・スミスから、更に遥か古代ローマに遡り、世界史の中で、人間と経済の根源を探求する壮大な旅。 「自由な市場は、「自由放任」ではなく、人間の手による絶えまない調整によって初めて実現する」--現代の概念を、長い歴史にルーツを持つものとして、魅力的なストーリーの中に描き出すことで知られる著者が、この逆説に挑む! ★「現在の政策論争に関して学ぶべきことがたくさんある。賛成の人も反対の人も、この重要な本から多くを学べるだろう。」--ローレンス・サマーズ(元米国財務長官) ★「タイムリーで学問に裏付けられた歴史……知識に裏打ちされた鋭い本。」--「フィナンシャル・タイムズ」紙 ★「自由主義経済の伝統について、より視野の狭い従来的な説明に対する、豊かで価値のある解毒剤を提供してくれる。」 --「ガーディアン」紙 ******** 【目次】 序文ーー自由市場思想についての新たな起源の物語 第1章 キケロの夢 第2章 神の経済 第3章 中世市場メカニズムにおける神 第4章 フィレンツェの富とマキャヴェッリ的市場 第5章 イングランドの「国家による自由貿易」 第6章 オランダ共和国の自由と富 第7章 ジャン=バティスト・コルベールと国家が作る市場 第8章 太陽王の悪夢と自由市場の夢 第9章 惑星の運動とイングランド自由貿易の新世界 第10章 イギリスVSフランスーー貿易戦争、債務、新たな楽園の夢 第11章 フランスの自然崇拝と啓蒙主義経済学の発明 第12章 自由市場VS自然 第13章 アダム・スミスと慈愛の自由貿易社会 第14章 自由市場帝国 第15章 徳の終焉ーー自由主義(リベラリズム)と自由至上主義(リバタリアニズム) 結び 権威主義的資本主義、民主主義、自由市場思想 謝辞/日本語版へのあとがき/原注/訳者あとがき 序文ーー自由市場思想についての新たな起源の物語 第1章 キケロの夢 第2章 神の経済 第3章 中世市場メカニズムにおける神 第4章 フィレンツェの富とマキャヴェッリ的市場 第5章 イングランドの「国家による自由貿易」 第6章 オランダ共和国の自由と富 第7章 ジャン=バティスト・コルベールと国家が作る市場 第8章 太陽王の悪夢と自由市場の夢 第9章 惑星の運動とイングランド自由貿易の新世界 第10章 イギリスVSフランスーー貿易戦争、債務、新たな楽園の夢 第11章 フランスの自然崇拝と啓蒙主義経済学の発明 第12章 自由市場VS自然 第13章 アダム・スミスと慈愛の自由貿易社会 第14章 自由市場帝国 第15章 徳の終焉ーー自由主義(リベラリズム)と自由至上主義(リバタリアニズム) 結び 権威主義的資本主義、民主主義、自由市場思想 謝辞 日本語版へのあとがき 原注 訳者あとがき
ことばは、空気のように我々の周りに当たり前に存在し、かつ不可思議で複雑である。本書では、一流の言語研究者が平易な語り口で、未知なることばの世界へと読者を誘う。60からなる各章は短く、数ページである。言語の起源、動物の言語、世界の書き言葉、手話言語、言語の変化等、様々な角度からことばに迫る。時間の許すときに手に取り、読み始めてみよう。 翻訳者:上田功、大津智彦、加藤正治、金子理紗、斎藤里香、田中瑶子、高森理絵、中尾朋子、早瀬尚子、渡邉拓人 原著:E. M. Rickerson and Barry Hilton(編)The 5-Minute Linguist: Bite-Sized Essays on Language and Languages.
1,000キロ先まで届くクジラの歌、 対ミツバチ警戒音を持つゾウ、 孵化する前から親子で呼び交わすカメ、 人間の産業活動が発する音で傷つくタコや海草…… ヒトには聴こえない音を聴き取り、意味を解析する研究が進んでいる。 その結果、動物の交流における音声の役割に加え、 聴覚器官を持たない植物やサンゴまでもが音を頼りに活動していることがわかってきた。 デジタル音響技術が明らかにした動植物の知られざる生態から、 人間の経済活動が発する音に影響される陸上・海中の生態系まで、 生命が奏でる音の多様性と未来を描く。
「ルール」はいかに世界を変えたか マフィアの掟、宗教の法、チベットの慣習法…… 国家の法にとどまらず、これまで見過ごされてきた〈共同体独自のルール〉にも光を当て、 法の役割を捉え直す。 古代のハンムラピ法典から現代の国連法まで、 4000年に及ぶ法づくりの歴史を俯瞰した、法人類学の決定版。 ■ ■ ■ 法はたんなる規則の集まりではなく、 秩序と文明をつくりだす手段にほかならない。 人間社会がなぜこのような形になったのかを知りたい人にとって、 必読の一冊だ。 ーーラナ・ミッター(オックスフォード大学教授) ■出版社より 法人類学の決定版、待望の邦訳刊行!
テック企業が労働市場を支配する! プラットフォームを介し国境を越えて労働力を集め、 アプリによって働きぶりを精密に管理し、秒単位で雇い、クビにするーー Amazon, Google, Uberなどが「発明」した労働形態は、なぜこれほど普及しているのか? そして、世界にいかなる矛盾を生んでいるのか? 「デジタル技術の進化により、さまざまな作業や業務が自動化されたように見える現代社会だが、その裏には多くの「人間による労働」が残されている。いや、残されているというより、人間の労働力が機械やアルゴリズムを中心とした仕組みに組み込まれていると言うべきだろう。アルテンリートは本書において、それを「デジタル工場」という概念にまとめ、幅広い調査に基づいて、批判的考察と理論化を試みている」(「訳者あとがき」より)
『フランケンシュタイン』はメアリ・シェリーが十代で執筆した代表作だが、人口に膾炙している怪物の視覚的イメージが先行しているからか、この物語が誕生した伝記的な背景は、この有名すぎる作品ほどは知られていない。 メアリ・シェリーの作家人生は、彼女の両親である急進派思想家のウィリアム・ゴドウィンとフェミニズムの先駆者と呼ばれるメアリ・ウルストンクラフトの出会いから宿命づけられていたといえる。 本書で綴られるメアリ・シェリーの伝記的な情報は、『フランケンシュタイン』の思想のバックボーンと彼女が生み出したほかの小説や旅行記とどのようなつながりがあるかを理解するうえで、不可欠なものである。 メアリが実人生で体験する苦しみーー産褥熱による母の死、流産、夫パーシー・シェリーの死、生き残った一人息子をめぐる義父との協議などーーと『フランケンシュタイン』以降のメアリ・シェリーの思想と行動も瑞々しい筆致で描かれている。 女性作家として、あるいはシングルマザーとして直面した問題意識がいかに形成され、作品として結実したか、余すことなく論じた記念碑的名著! 北村紗衣さん推薦! 謝辞 第1章 遺産 第2章 ゴシックの叛逆 第3章 『フランケンシュタイン』 第4章 初期の女性の語り手──『フランス、スイス、ドイツ、オランダの一地域をめぐる六週間の旅行記』、『マチルダ』(一八一七〜一八二一年) 第5章 『ヴァルパーガ』、『最後のひとり』、『パーキン・ウォーベックの運命』、そして新たな『フランケンシュタイン』(一八二一〜一八三一年) 第6章 最後の仕事、一八三五〜一八四四年 訳者解説 訳注 図版一覧 読書案内 索引
“この本は、どこにでもいる女性の強さへの賛辞だ。" ナタリア・ホルト 現代の仕事場の安全は、100年前の「ラジウム・ガールズ」が切り拓いた。歴史、科学、個人史が融合した傑作ノンフィクションが待望の邦訳!! ラジウムはかつて「夢の物質」といわれ、光り輝くラジウム塗装は技術とセンスを活かす憧れの職業だった。しかし、工場で働く少女たちに恐ろしい奇病が広がり始める。歯が抜け落ち、顔の骨が崩れ、片足だけが急に短くなる……そして最後には命を落としてしまうのだ。企業が事態の隠蔽に走るなか、彼女たちは自身の尊厳を守るために立ち上がる。 約100年前の物語であるにもかかわらず、現代とあまり状況が変わらないことに驚かされる。放射能への無理解や、風評被害──ラジウムガールズの死体は光ると噂された──、企業の責任回避、末端の作業員に被害が集中する状況……。しかし決して悲劇的ではない。苦しみながら闘った彼女たちひとりひとりに精彩を与え、権利を勝ち取る物語は活力と勇気に溢れ、時代を超えて現代のベストセラーとなった。 現在に連なる労働者の安全確保においても、フェミニズム史においても重要な役割を担った彼女たちの奮闘は、100年経っても色褪せない。私たちがこの本を読む理由は山ほどあるのだ。 ──────── "20世紀初頭のアメリカが、放射能によって組織的に毒殺された何十人もの女性たちをいかにして黙らせようとしたか。衝撃的な物語を語っている。非常に生き生きと描かれている。─★★★★★" Mail on Sunday “この本は、どこにでもいる女性の強さへの賛辞だ。美しさと高揚感に彩られた筆致で、ラジウム・ガールズの胸が張り裂けそうな闘いとほろ苦い勝利を追い、時代を先駆けた少女たちの身近な肖像を描き出している。" ナタリア・ホルト